ジャム3姉妹
梨楽庵



梨の加工品は、缶ジュースや梨エキスを取り込んだソフトクリーム、菓子類が一般的です。近年は梨ワインも販売されて人気を博しています。梨楽庵を開業した頃、お客様から「宿にはお土産コーナーのような場所はないのですか?あれば購入したいのですが」と問いかけられました。
確かに、多くの温泉旅館やホテルには売店が設けられ、県外客を目当てに郷土の特産品が並べられています。旅の楽しみの一つが買い物であることは間違いありません。我が宿は農家民宿なので、農業体験をしたり、地元の食材を活用した手作りの食事を楽しんだり、宿でゆっくりとくつろいでいただくことがメインです。「ミニ売店」の場所づくりは全く念頭にありませんでした。宿で販売するとなると、旅の思い出となるオリジナルの商品の開発が必要です。お客様の問いかけが、その以来、頭から離れませんでした。
実は、お客様が到着されると、抹茶と「梨ようかん」で、おもてなしをしていました。梨ようかんは、梨栽培で家族を支えた母が生前に食べさせてくれた逸品です。梨を長時間煮込むと、独特な甘みの梨飴ができます。これを隠し味として小豆餡に含ませると、まろやかな口当たりの梨ようかんができあがるのです。
しかし、梨ようかんは製造に手間暇がかかり、長期保存もできません。そこで、ひらめいたのが梨ジャムづくりです。梨の品種の中では、二十世紀梨は賞味期限が長いのですが、長期保存はできません。でも、ジャム加工したら半年から1年は常温保存が可能です。
ジャムづくりを決意してから、すでに市販されている梨ジャムを何種類か買って食べてみましたが、保存料が使用されているためか、二人が納得する食感ではありません。妻の試行錯誤が始まり、ようやく納得できる梨ジャムが完成しました。友人や知人にプレゼントして試食していただくと、「おいしかったです。初めての味です。今度は買わせてください。」「お店で売ってみたらどうですか。売れますよ。」などと、ほとんど全ての方が賛辞の声を届けてくださいました。
お調子者の私は、販売まではしなくても、と消極的な態度の妻を強引に説得し、湯梨浜町内の業者と交渉して、販売の許可をいただきました。県外客が多い「道の駅はわい」では梨ジャムを、地元客が多い「はわい夢マート」では、「梨ジャム」と「いちじくジャム」と「ゆずジャム」を置かせていただきました。3種類のジャムは、女性的なイメージがするので、「ジャム3姉妹」と名づけました。性の多様性が問われる時代なので、批判的なご意見をお持ちの方もあるかもしれませんが、「人」ではなく「ジャム」なので、ご容赦ください。
さて、「本当に買って下さる方がいるのだろうか」、「もしかしたら、売れないのでお店から引き取りの連絡が入るのではないだろうか」と不安感ばかりが募る日々でした。ところが、予想に反して、少しずつ少しずつでしたが、お買い求めになるお客様がいらしたのです。5月の連休前には「道の駅はわい」に10個ほど納入しましたが、2日後には追加の電話が入ったのです。儲けは殆どありませんが、買っていただける喜びを味わうことのできる貴重な販売体験でした。
6月下旬で在庫がなくなり、販売を中止していましたが、自家農園の梨といちじくの収穫が始まりましたので、9月9日(土曜日)より販売を始めたいと思います。ジャム3姉妹は、ヨーグルトとの相性が抜群ですが、いろいろな用途で、それぞれの味をお楽しみください。私の将来の夢の一つは「ジャム3姉妹」をお客様に喜んでいただける看板商品にしていくことです。ご支援の程、よろしくお願いいたします。
