農家民宿 梨楽庵ブログ

米澤のたい焼き

風景

   覚えていますか。今から48年前のことです。1975年(昭和50年)の暮れに発売されたシングルレコード『およげ!たいやきくん』は、翌年から大ヒットとなり、一大ブームとなったのです。子門真人さんの独特の歌声が子供から大人まで、全世代の心を奪ったのです。歌詞を紹介します。

          まいにち まいにち ぼくらは てっぱんの

          うえで  やかれて  いやになちゃうよ

         あるあさ  ぼくは  みせのおじさんと  

         けんかして  うみに  にげこんだのさ

 

         はじめて  およいだ  うみのそこ

         とっても  きもちが  いいもんだ

         おなかの  アンコが  おもいけど

        うみは  ひろいぜ  こころがはずむ

        ももいろサンゴが  てをふって

        ぼくの  およぎを  ながめていたよ

    当時、私は大学1年生でした。テレビやラジオから毎日毎日、この歌が流れていました。『およげ!たいやきくん』の歌は、1976年の様々な歌謡曲の賞を総ナメにしました。大ヒットのおかげで、全国各地の「たい焼き屋」さんは、爆発的な売り上げを記録したのです。

    倉吉市内には、今年で創業75年を迎える「米澤のたい焼き」屋さんがあります。スーパーマーケットの店頭やお祭りの屋台で「たい焼き」を買って食べた経験は殆どの人がしていることでしょう。しかし、「米澤のたい焼き」はひと味違うのです。

    白っぽい皮は薄皮で、アンコもたっぷり入っています。粒あんは甘すぎず、さっぱりとした味です。皮が超薄皮なので、中のアンコが透けて見えるので、食欲がそそられます。焼き方によっては、体からアンコがはみ出ているのもあり、手に取って早く食べたくなります。「米澤のたい焼き」は小ぶりなので、一枚食べ終わるとなぜかもう一枚食べたくなるのが、不思議です。

 先日取材のためにお店に行ってみると、年配の女性のお客さんがたい焼きを大量に注文していました。そうなんです。「米澤のたい焼き」は一人でこっそり食べるよりも、みんなでワイワイ言いながら食べる方がよりおいしさが増すのです。

 創業75年目に入る「米澤のたい焼き」は2代目に受け継がれています。4分の3世紀続いているということは、もうすでに倉吉市の伝統文化なのです。人々は「たい焼きが食べたい。」とは言いません。「米澤のたい焼きが食べたい!」と言うのです。たい焼きの前に必ず『米澤』の名前を冠するのです。

 『およげ!たいやきくん』の歌が大流行したときの売り上げが気になって、2代目に質問してみました。「やっぱり、あの歌がヒットした時がたい焼きが一番売れたんですか。何枚ぐらい焼かれたのですか。」売り上げとか、何枚という不躾な質問にややムッとされたようでしたが、「そうだったと思うよ。あの頃は、ひっきりなしにお客さんがやってくるので、朝の9時ごろから焼き始め、晩までずーっと焼いていたよ。」「何時頃までですか?」「夜の9時頃までだったかな。」「え、え!9時ですか?」「ああ、まあ、一時的なブームで終わったがね。」

 「米澤のたい焼き」屋さんのお店には、お店の外も内も昭和の時代の雰囲気がそのまま残されています。お店を知らないでたい焼きを食べた人が、一度でも直接お店に立ち寄ると、「米澤のたい焼きファン」になってしまうのは、レトロ感の溢れるお店の構えが大いに影響しているのではないでしょうか。

    ところで、毎日毎日、鉄板の上で焼かれる人生に嫌気がさした「たいやきくん」ですが、その後どうなったのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。お手数ですが、ネットで調べてみてください。できれば、一世を風靡した大ヒット曲も是非とも聴いてみてください。私はもう一度、「およげ!たいやきくん」の再ブームが令和の時代に巻き起こるのではないかと予想しています。

*米澤さんのお店は、「たい焼き」が1番人気ですが、小豆餡と白餡の2種類ある「大判焼き」もおいしいです。「たこ焼き」も一緒に持ち帰ると家族に喜ばれること間違いなしです。