農家民宿 梨楽庵ブログ

クロガネモチに珍鳥が飛来

梨楽庵

  クロガネモチの木に珍鳥が止まっています

    人生で初めて出合った鳥です

  赤い実を求めて、二羽もやってきていました

 黄色と白色と黒色の羽根がとてもきれいでした

    新芽が日ごとに成長しています

 梨楽庵の中庭にはクロガネモチの木が植えてあります。自宅を新築した時、本宅と離れの家とを廊下でつなげたところ、手頃な空間が生まれたので、木を植えることにしたのです。最初はイロハモミジや他の木を植えていたのですが、中庭の環境に適していなかったようなので、数年後に伐採していました。

 緑色の空間を演出しようとして芝生を植えてみたものの、中庭のため太陽の光が届きにくいからなのか、芝生よりも雑草の方が勢いを増してしまいます。いっそのこと、何もない土の空間もいいのかも、とも考えましたが、あまりにも殺風景なので、アジサイや鉢植えの花や低木を植えて、あれやこれやと中庭づくりを試してみました。結局は、父が手配した業者によって20年ほど前に中庭の中央にクロガネモチを植えたのです。

 意外なことに、クロガネモチはすくすくと成長していきました。樹形を整える作業や水やりなど、父の管理が的確だったのかもしれません。父が亡くなってからは、私が管理を受け継いだのですが、自然の雨水だけでのびのびと育っていきました。高木になりすぎると倒れる危険性もありますので、先端はカットして成長を抑えています。

 毎年5月を迎えると、クロガネモチは見事な新緑で中庭を華やかにしてくれます。夏には緑色の実がなります。晩秋の頃には実は真っ赤に変身します。クロガネモチについて調べてみると、日本の気候に適していて、庭木以外にも街路樹や公園樹として広く活用されているそうです。名前の由来は、「鉄のように固い実」からきていて、強さや長寿を象徴し、縁起の良い庭木として人気があるそうです。

 さらには、赤い実と緑の葉は、新年を迎える飾りやお守りとしても用いられているそうです。花言葉は「寛容」「魅力」を表し、クロガネモチの凛とした立ち姿は人との関係性や内面の美しさを象徴しているそうです。風水では、家族の健康や幸福を守り、邪気を払う効果があるとされているそうです。クロガネモチを植えた時に、父がどのような思いで植えたのかわかりませんが、私たち家族が気づかなかっただけで、クロガネモチの大いなる恩恵を受け続けていたのかもしれません。クロガネモチに感謝、感謝です。

 クロガネモチは冬の終わりから春先にかけて、深緑の葉っぱが次々と落葉します。風雨の強い翌日には、どっさりと葉っぱが地面に散乱しています。多忙な時には毎日掃除するのは大変なのですが、中庭は愛犬「梨々(リリー)」の生活場所なので、できる限り掃除をするように心がけています。多い時にはコンテナ1箱分の分量にもなります。分量は異なるものの、ほぼ毎日のように落葉は続きます。

 4月中旬になると、柔らかな薄緑色の小さな新芽が顔を出します。とても小さな新芽の葉っぱは、日ごとにググっと成長していきます。ちょうど今頃が伸び盛りの時なのでしょうか。そして、新芽の成長を見守るかのように、役目を果たし終えた緑葉は、ユズリハと同じように今日もまた散り落ちています。

 冬の季節にクロガネモチの木に雪が降り積もると、白色と赤色のコントラストがとても魅力的です。餌が少ない時期なので、雪が積もっているにも関わらず、赤い実が目立つのか、ヒヨドリをはじめ、名も知らない鳥がたくさん飛んできます。数羽がやってきて実をついばむのは趣があるのですが、ある時、数十羽のヒヨドリの群れが一度にやってきたのです。私に気が付き一斉に飛び去ったのですが、同時に大量のフンを落としたために、非常にフン害、いや憤慨したことがありました。

 あれは4月の上旬だったと思います。桜も咲いて暖かくなってきたのですが、一時的に寒気が戻った日がありました。何気なくクロガネモチの木を眺めていると、見たこともない美しい姿の鳥が二羽ほどやってきていたのです。急いでデジカメで撮影してみると、頭には冠羽があり、羽には鮮やかな黄色と黒色の文様が写っていたのです。調べてみると、「キレンジャク」のようでしたが、もしかしたら、「ボヘミアンワックスウィング」という珍鳥の可能性もあります。

 キレンジャクの分布を調べてみると、「北半球の寒帯に広く繁殖分布し、日本では冬鳥として見られるが、本州中部以北に多い。木の実を求めてどの程度南下するかは途中の木の実の量に影響される」と記載されていました。中国地方ではめったに見ることのできない珍鳥に出会えたのは、クロガネモチのおかげなのかもしれません。感謝、感謝です。