山陰海岸ジオパーク(鴨ケ磯・城原海岸)
風景

水尻(みずしり)洞門付近の風景

砂浜を進むと遊歩道につながっています

海ってこんなにもきれいだったのかと、驚きます

ここが鴨ケ磯の中心部分です

向こうに見えるのが酒宴洞門(しゅえんどうもん)

酒宴洞門(しゅえんどうもん)の後ろ側の景色です

日本海の宝石箱、鴨ケ磯の全景です

城原(しらわら)海岸は溶岩地形が見られます

ここでしか見ることのできない景観です

白い礫(れき)浜と褐色の溶岩のコントラストが見事です

昨年はここで海水浴をしている人たちを見かけました

日本海の宝石箱、城原(しらわら)海岸の全景です

鴨ケ磯、城原海岸は鳥取県と岩美町の宝物です

山陰海岸ジオパークについては、すでに7月7日(日)と7月23日(火)のブログで紹介しています。今回は、山陰海岸ジオパークで、鳥取県内の指定地域の中でも一番の景勝地についてご紹介します。
山陰海岸ジオパークの指定地域の内、京都府網野海岸から鳥取砂丘までのおよそ75㎞の範囲は、今から61年前の昭和38年(1963年)に山陰海岸国立公園に指定されています。この地域の海岸は、山が海に迫り、険しくて複雑な沈降海岸となっています。いわゆるリアス式海岸の地形が続いているのです。日本海の荒波によって形成された「海食崖(かいしょくがい)」や、向こう側まで貫通した洞穴の「洞門(どうもん)」や洞窟、岩礁などの海食地形を数多く見ることができるのです。
荒々しくて複雑な岩の造形美が最大の魅力で、岩石の種類も豊富で、「地質の公園」とか「岩石美の公園」とも呼ばれています。そして、日本海の海面変動や地殻変動の様子を知ることができることがジオパークに指定された理由の一つなのです。山陰海岸国立公園内では、海中景観の特に優れた地区が「海域公園」として5ヶ所指定されています。
鳥取県内では、浦富海岸海域公園が指定されています。浦富海岸は、東は兵庫県境の岩美町陸上(くがみ)岬から西は岩美町大谷に至るおよそ15㎞の海岸のことです。「浦富(うらどめ」とは、「浦」(海辺を意味する)に豊かな「富」があるという意味です。浦富海岸は岩美町にあります。確かに「岩」が「美」しい町なのです。浦富海岸には、海岸線に沿っておよそ4㎞の遊歩道が整備されています。海岸線に沿って県道が走っていて、駐車スペースもあり、県道から遊歩道へとつながっています。
遊歩道はおよそ4㎞あるのですが、一推しは、鴨ケ磯(かもがいそ)から城原(しらわら)海岸へ進むコースです。城原海岸から鴨ケ磯へ進むこともできるのですが、遊歩道の途中にはアップダウンがあり、体力面を考えると、鴨ケ磯から城原海岸へ向かうコースをお勧めします。
県道の「鴨ケ磯・水尻入口」からつながる遊歩道の階段を下りていくと、「水尻(みずしり)洞門」と呼ばれる名所に到着します。ここが海岸美との最初の出合いの場です。誰も必ず、手にしたカメラのシャッターを押し始めることでしょう。これから先にどんな景色が待っているのかと、ワクワクしてきます。遊歩道を東に進むと、美しい砂浜と緑の松に覆われた岩石海岸と穏やかで透き通る海の自然美が目に飛び込んできます。どの角度からカメラのシャッターを切っても絵葉書になる景色が広がっているのです。取材日にはカナダのバンクーバー出身の家族が海水浴を楽しんでいました。平日だったので、完全なるプライベートビーチ状態でした。
足元に気を付けながら遊歩道を進んでいくと、「ロシア軍将兵遺体漂着記念碑」が見えてきました。記念碑建立の石碑には、日露戦争で田後(たじり)沖に漂流していたロシア軍将兵2人の遺体を村民が丁重に葬り供養したと書かれていました。そして、この記念碑は当時の村民の人類愛を顕彰するために、昭和37年(1962年)、岩美町出身の初代国連大使、沢田廉三が建立したそうです。
坂道を登ってさらに進むと、「鴨ヶ磯(かもがいそ)」の砂浜に到着します。ここが浦富海岸随一の景勝地で、海域公園に指定された場所なのです。私は鳥取県に住んでいますので、これまでにも何度か鴨ケ磯には来ていますが、何度見ても美しすぎる景観なのです。鴨ケ磯の砂浜は主に長石と石英から形成されていて、ガラスを砕いたような透明感があり、この白砂は天然記念物に指定されています。浦富海岸を「日本海の宝石箱」と呼んでいるプロの写真家もおられます。鴨ケ磯は宝石箱の中の最も大切な宝物だと断言できます。
今から97年前の昭和2年(1927年)の夏に明治の文豪、島崎藤村が浦富海岸を訪れました。藤村は、鴨ケ磯の東側の波打ち際にある洞門をとても気に入られました。「この洞門は風通しもよく、中で酒を酌み交したらさぞおいしいだろうなあ」と称賛されました。このことがきっかけで、この洞門は「酒宴洞門(しゅえんどうもん)と呼ばれ、藤村ゆかりの地として伝えられています。
酒宴洞門を後にして進んでいると、沖合から観光遊覧船が鴨ケ磯に入ってきました。もちろん遊歩道を散策するのは楽しいのですが、遊覧船からの景色も見応え十分なので、機会を見つけて遊覧船をご利用されることをお勧めします。
酒宴洞門から城原海岸に向かう道はアップダウンがきびしく、夏場は汗だくになるのですが、登り切った所にある展望台からは、鴨ケ磯海岸の全景を眺めることができるのです。絶景かな!絶景!これこそが「日本海の宝石箱」なのです。
ゴクン、ゴクンと水筒の水を飲み、宝石箱をカメラに収めた後は、海岸沿いの森の中を下って城原海岸を目指します。坂を下りて平坦な道を歩いていると左手の海に現れるのが駱駝島(らくだじま)です。ここからの眺めも抜群です。しばらく進むと城原海岸が眼下に見えてきます。
城原海岸の周辺一帯も海域公園に指定されています。褐色の溶岩が海中に突き出て形成された独特の景観が見られます。花崗岩でできた白色の礫(れき)浜とのコントラストがきれいです。城原海岸は県道の入口から続く階段を下りるとすぐ近くなので、夏には多くの海水浴客で賑わっています。
鴨ケ磯から城原海岸へ進むコースを堪能された後は、県道を田後(たじり)方面へ進み、城原展望所ではなく、そこから50mほど田後寄りの場所から城原海岸を眺めて見てください。そこからは、二つ目の「日本海の宝石箱」を遠望することができるのです。
浦富海岸の遊歩道をトレイルする時期は、5月と10月の頃が適していると思います。しかし、真夏の焼けつくような強い日差しが降り注ぐからこそ、日本海もより一層透明感が高まり、ここでしか見られない「岩美ブルー」と呼ばれる海の色を見ることができるのです。私は汗だく覚悟で、昨年に続いて真夏の浦富海岸のブログ取材に出かけました。皆様も是非とも「日本海の宝石箱」との出合いを求めて鳥取の旅をお楽しみください。ブログの画像では絶対にお伝えできない風景の宝石を直接現地に出かけて体感されることをお勧めします。
