山陰海岸ジオパーク(龍神洞)
風景

城原海岸の東側です。奥の岬の先端が龍神洞

巨大な海食洞です。自然の造形に圧倒されます

龍神洞が見えてきました。船は洞内に入っていきます

大きな洞穴が迫ってきました。海の色が透明です

龍神洞に入る直前です。溶岩流が海に流れ出たのです

龍神洞の中から撮影しました。イワツバメが飛んでいました

龍神洞の上に白い柵の遊歩道が見えます。右側の洞穴の右手の岩場にも遊歩道が見えます

田後港内にはウミネコが休憩していました。白い漁船はカニ漁の船です。今は休漁期です
山陰海岸ジオパークについては、すでに3回ブログで紹介しています。今回は、山陰海岸ジオパークの指定地域となっている浦富海岸で企画された期間限定特別遊覧ツアーについてご紹介します。
5月の大型連休明けのことでした。岩美町で人気の「浦富海岸・島めぐり遊覧船」を運航している(株)山陰松島遊覧が、「龍神洞(りゅうじんどう)」を巡るコースを運航することが報道されました。「龍神洞」は山陰海岸では最大級の海食洞で、日本海に突き出た羽尾(はねお)岬の先端部にあり、二つの大きな海食洞の入り口があります。県によると、洞窟の内部は幅が8m、高さが10m、奥行きが150mもあるそうです。
鳥取県では、県の形が竜を横から見た姿に似ているとして、今年の干支(えと)の辰(たつ)年にちなんで、「鳥取県は竜の化身!?とっとリュウ県」と銘打って、県内の竜にまつわる観光スポットをPRするキャンペーンを展開していました。この取り組みの一環として、龍神洞遊覧船ツアーが企画されたのです。
龍神洞を見学するためには県が整備した遊歩道があり、以前は陸路からも近づくことができたのですが、2017年2月に発生した地滑りによって遊歩道が崩落したため、現在は海からしか近づけない秘境の地となっていたのです。近年は、波が穏やかな時には立ちこぎで進むサップやカヤックでの見学が人気となっています。
「期間限定」、「神秘的」の特別感がいっぱいの宣伝文句に引きずられ、すぐに予約を入れました。5月11日には報道関係者向けの体験乗船会が開催され、平井伸治知事など関係者24名が2隻に分かれて乗船し、初めての遊覧船ツアーを体験されました。運航コースは、田後港を出港し、海水浴場として有名な東浜の沖合を進み、羽尾岬の西側に連なる海食崖(かいしょくがい)や海食洞の溶岩地形を見ながら、岬の先端部にある龍神洞までのおよそ6.5㎞を約50分で往復するコースです。乗船後、平井知事は「とても神秘的だった。是非多くの人に体験してもらいたい」と話され、太鼓判を押されたと報道されていました。
7月9日、予約当日がやってきました。午前9時出港予定の1便限定の日でしたが、残念ながら天候不順のためツアーは中止となってしまいました。期間限定、神秘的の言葉が頭から離れなかったので、すぐさま再度の予約を申し込みました。ツアーは7月下旬と8月下旬にも組まれていました。8月は台風接近の危険性がありますので、天候が安定している梅雨明け後の7月23日に決めました。
再挑戦の日は汗ばむ陽気でしたが、田後港の波は穏やかで、沖合の波も大丈夫のように見えました。船長さんに昨日の様子を尋ねたところ、天気は良かったものの、龍神洞周辺の波が高く、洞内には入れなかったそうです。「ええー!もしかして今日も入れなかったら…。」一瞬不安感が襲ってきましたが、運は天に任せるしかありません。
小型船の定員は12名で満席でした。定刻に田後港を出港し、船は浦富海水浴場の沖合を順調に進んで行きました。船長さんの説明もわかりやすく、絶好調ならぬ❝舌口調❞でした。浦富海水浴場は高校時代に臨海学校で遠泳をした思い出の地でした。光陰矢の如し、いや光陰ロケットの如し、瞬く間に半世紀以上が過ぎてしまったのです。
羽尾岬に近づくと海食崖や海食洞が見えてきました。どれほどの溶岩が流れ出たのか、想像を絶する地殻の大変動があったに違いありません。岬の先端を回ると龍神洞が見えてきました。波が穏やかなので洞内に入ることができるとの船長さんの説明に胸が高鳴りました。
龍神洞内はほとんど波がなく、船の揺れも全く感じられませんでした。入口から光が差し込みますが、両側や奥の方は真っ暗闇です。しばらくして暗闇に目が慣れてきたので海の底をのぞくと透明度の高い「岩美ブルー」の海中が見えました。船頭さんの説明では、数日前の大雨の影響で透明度がやや低いとのことでしたが、十分に満足できました。入口付近ではイワツバメが休みなく飛び交っていました。
洞内を出ると、船長さんが粋な計らいをしてくださいました。ゆっくりと船を一回転させて写真撮影の時間を設けて下さったのです。龍神洞の上方に目をやると、確かに崩落した遊歩道の残骸が見えました。遊歩道はかなりの急こう配でした。こんな場所によくぞ作ったものだと驚きました。晴れていても波が高ければ海から見学することはできません。陸路を切り開けば定期的に見学できるのではないか、という人間の強い願望が遊歩道の建設につながったのではないでしょうか。
帰路は往路よりも波が高く、小型船のために船底が浅いので波しぶきがかかりましたが、それもご愛敬、遊覧船ツアーの思い出の一つになりました。最後のツアーは8月24日から30日までの一週間です。定員が少ないのですでに完売かもしれませんが、是非ともお問い合わせされることをお勧めします。今回の企画は期間限定ツアーでしたが、もしかしたら来年度以降も開催されるかもしれません。それだけの価値ある企画だと私は確信しました。
