農家民宿 梨楽庵ブログ

浦富海岸・島めぐり遊覧船

風景

 鳥取砂丘からわずか10分の所にあります

  浦富海岸の景勝地を島めぐりします

 「千貫松島」は浦富海岸のシンボル的な島です

  「白粉の断崖」は高さ約70mの絶壁です

「岩燕洞門(いわつばめどうもん)」と呼ばれています

  断崖絶壁が続いています。圧倒されます

  あちこちに海食洞門や海食洞窟が見られます

 鴨ケ磯海岸の沖合は海域公園に指定されています

    菜種五島の中の3島です

  左の島が「菜種島」です。春には菜の花が咲きます

   見飽きることのない風景が迫ってきます

 左の島は「黒島」です。凝灰岩でできた島です

     茶色の所が鳥取砂丘です

 登山家、ジョージ・マロリーの名言はご存知の方が多いと思います。1923年(大正12年)、今から101年前のことです。「なぜエベレストに登るのですか」というニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに、彼は「Because it  is  there」(そこにそれがあるから)と答えました。その言葉が「そこに山があるから」と翻訳され、登山家の信念を表した名言として広く知れ渡るようになったのです。

 それでは、「なぜ旅に出かけるのですか」と問われたら、あなたはどのように答えられますか?まさかマロリーを真似て「そこに旅があるから」と答える方はおられないとは思いますが…。一般論ですが、「まだ○○は見たことがないので、見てみたい」「まだ△△は食べたことがないので食べてみたい」「温泉好きなので日本中の温泉巡りをしてみたい」などと答える方がほとんどではないでしょうか。そして、全ての人に共通する動機は、「非日常」を求めて旅に出かけていることではないでしょうか。

 「非日常」を求めるということは、普段の生活ではなかなかできないことを体験したいという人間の願望です。これまでに山陰海岸ジオパークについて何度か紹介しましたが、浦富海岸の遊歩道のトレイルは、まさに「非日常体験」です。そこには鳥取県の岩美町でしか見ることができない絶景との出合いがあるのです。人は極上の非日常体験をすると、必ずリピートしたくなります。浦富海岸は、私も時を置いて何度も訪れている場所です。

 実は浦富海岸には、「非日常」がもう一つあるのです。それは、遊覧船による島めぐり観光です。遊覧船を運営しているのは(株)山陰松島遊覧です。今から61年前の昭和38年(1963年)に会社が設立されました。つまり、前回の東京オリンピックが開催された1年前ということですから、鳥取県東部地区の伝統ある老舗企業です。

 観光遊覧船の事業内容はいろいろありますが、何といっても遊覧船による浦富海岸の島めぐりが一番人気です。まだまだ知られていませんが、鳥取砂丘からわずか10分ほどで、遊覧船乗り場に到着できるのです。鳥取砂丘観光を終えて、「砂の美術館」を見学し、まだ旅程に余裕があれば、鳥取砂丘から浦富方面に車を走らせてください。3分ほどで山陰近畿自動車道の福部ICに到着します。そこから一つ先の大谷ICまで行き、ICを下りて左折し、一般道を真っ直ぐに進み、信号を通過し、そのまま進むと、遊覧船乗り場に到着します。大谷ICからわずか2分ほどです。

 船に乗ることはそれ自体が「非日常」です。漁師さんや漁船の船長さんにとっては、船に乗ること、いや運転することは仕事ですから「日常」ですが、私たちにとっては、ワクワク感いっぱいの体験です。福岡県の柳川市では川下り観光が目玉です。島根県の松江市は松江城の堀を小舟で観光する堀川めぐりが人気です。滋賀県の近江八幡市の水郷めぐりは、またリピートしたくなる舟遊びです。私のイチ推しは、京都の保津川下りです。嵐山からトロッコ列車に乗って乗船場の亀岡へ行き、帰路は保津峡の急流を舟下りする体験は最高です。トロッコ列車に乗る「非日常」と峡谷を川下りする「非日常」と保津峡でしか見ることができない風景美を愛でることができる、世界に誇れる観光体験です。

 さて、話が横道にそれてしまいましたので、網代港に戻ります。遊覧船は小型船に比べて船の揺れが少ないので、安心して遊覧することができます。今回は朝イチの午前9時30分に乗船しました。遊覧船には船室があるのですが、甲板からの遊覧をお勧めします。海風が心地よく、視界が開けて見えるので、海の上にいることが実感できます。

 網代港を出ると船は大きく右に旋回します。しばらくすると、浦富海岸の代表的な島、「千貫松島(せんがんまつしま)」が見えてきます。千貫松島の由来は、江戸時代に遡ります。鳥取藩2代目藩主、池田綱清が浦富海岸を舟遊びされた時、この島の景観にいたく感動され「この島と松を城内に移した者には銀千貫を与えよう」と話されたことに由来します。それ以来、この松を「千貫松」と呼び、島は「千貫松島」と呼ばれるようになったそうです。当時の松は枯れてしまったそうですが、今は2代目の松が当時をしのばせてくれます。

 さらに進むと、「白粉の断崖(おしろいのだんがい)」が現れます。高さ約70mもある絶壁で、白く見える断崖は野生の鵜(う)の糞(フン)だそうです。ふ~ん。……。次には、「岩燕洞門(いわつばめどうもん)」が見えてきます。以前は洞窟の天井にイワツバメが巣をつくり、多くのイワツバメが飛び交っていたそうです。

 乗船した日は少し波があったので、波が岩に当たると真っ白な白波が立ち上り、海の水のきれいさがより一層感じられました。浦富海岸をトレイルしていると気が付きませんでしたが、遊覧船から陸側を眺めると、この付近の海岸線には、断崖絶壁続き、多くの洞門や洞窟を見ることができます。ブログで紹介したように、遊歩道からの眺めは「日本海の宝石箱」なのですが、海からの眺めは、全く人を寄せつけようとしない荒々しさが強く感じられます。浦富海岸は、大自然が生み出した表と裏の2つの顔を持つ、地球上の、ここにしかない風景なのかもしれません。

 遊覧船は鴨ケ磯(かもがいそ)海岸の沖合から城原(しらわら)海岸の沖合の島々を巡って進んで行きます。この辺りの海域は海中景観が特に優れているので「海域公園」に指定されています。海の透明度は高く、最高透明度は約25mです。浦富海岸は沖縄の海に匹敵するきれいな海なのです。ここではダイビングやクリアカヌー、シーカヤックなどを楽しむことができます。近年、ボードの上に立ったまま乗り、オールを使って海上散歩ができるSUP(スタンドアップパドル)が大人気です。

 城原海岸の景勝地の菜種島と菜種五島を一回りすると、遊覧船は大きく左へ舵を切り、スピードを上げて網代港へと向かいました。大海原に目をやると、水平線は緩やかに曲線を描いています。遊覧船のV字型の船底からは海水が切り裂かれ、真っ白な波が飛び散っています。西の方に目を向けると、鳥取砂丘の海側の砂地を遠望することができます。気候条件がそろうと、伯耆富士「大山(だいせん)」を見ることもできるのです。

 しばらくすると遊覧船は無事に網代港に到着しました。およそ40分間の島めぐりは誰もが満足感を抱くことができる観光体験です。長時間のクルーズではないので船酔いの心配も少なく、大人から子どもまでファミリーで楽しむことができるのです。浦富海岸・島めぐり遊覧船は、鳥取県のイチ推しの観光体験です。車を利用すれば、梨楽庵からはおよそ45分で到着できます。まだ一度も遊覧船に乗られたことがない方は、この夏に是非ともお出かけください。