浜の価値
梨楽庵

潮風の丘から「大山」の冬景色を眺めることができます

潮風の丘の西側からは鳴り砂の石脇海岸を眺めることができます

石脇海岸の冬景色です。晴れた日の雪景色はより一層きれいです

梨楽庵の裏の砂浜です。ここでも鳴り砂現象を体験できます

風が強い日には「風紋」が見られます。

一年を通して、変幻自在に移り変わる、美しい海岸風景を眺めることができます

一里浜の宇谷方面からの眺めです。半島の先端部が「潮風の丘」です

冬には日本海の荒波が打ち寄せます

宇野地区の海岸は、夏には海水浴場になります

湯梨浜町の西側のハワイ海岸です。ここも夏には海水浴場となり、多くの海水浴客で賑わいます
前回のブログで紹介しましたが、平成16年(2004年)10月1日、平成の大合併によって湯梨浜町が誕生し、今年で20年が経ちます。町内には羽合温泉と東郷温泉の二カ所の温泉地があり、日本一の二十世紀梨の産地を抱え、日本海沿いにはきれいな砂浜が広がっています。「湯」の町、「梨」の町、「浜」の町の特色を表した「湯梨浜」の町名も、メディアを通して全国に知れ渡るようになってきました。
しかし、私の個人的な考えですが、「湯」と「梨」に比べると、浜の価値がまだまだ知られていないのではないかと感じています。全国各地から、そして、今では韓国や中国や東南アジア方面からも観光客が訪れる鳥取砂丘は別格ですが、全国的に見ると、日本列島の海岸線は砂浜が急速に減少しているのです。
国土交通省の調査によると、砂浜の減少は全国に広がっているようです。日本の海岸線は総延長が約35000㎞あり、その約3分の1が護岸工事などによって人工の海岸に姿を変えています。残りの自然海岸の約半分が砂浜ですが、急速に減り続けているのです。千葉県の東側には日本の白砂青松100選に選定されている有名な九十九里浜がありますが、36カ所あった海水浴場も6年前のデーターでは、18カ所に減っているそうです。事態はかなり深刻です。
このような状況ですが、ふるさと湯梨浜町には、小浜から石脇、園から宇谷、宇野地区、橋津地区には砂浜の海岸線が広がっています。しかも、石脇の浜は、砂を踏みしめると「クックッ」と鳴る、「鳴り砂」の浜なのです。現在、鳴り砂の浜として確認されている所は、全国にわずかに20数か所あまりだそうです。砂が鳴るのは自然環境が守られているからなのです。
鳴り砂の現象が起きるにはいくつかの条件がそろう必要があるそうです。一つ目は、砂粒の大きさが均等にそろっていること。二つ目は、砂粒は石英が圧倒的に多く、他の鉱物や異物の混入が少ないこと。三つ目は、表面の摩擦力がやや大きく、砂の表面が清浄なこと。四つ目は、海岸線があまり長くなく、東側に海流を妨げる半島があること、などです。
実は、わが家の裏に広がる園の浜も、場所により鳴り砂現象が見られます。素足ではなく、長靴を履いて押し出すように歩くとはっきりと聞き取ることができます。さらには、鳥取砂丘は強い風によって運ばれた砂が形づくる「風紋」が有名ですが、風の強い日に砂浜に出かけてみると、園の浜にもきれいな風紋を見ることができるのです。
今から25年ほど前に、『日本の風景100選』という本を書店で見つけました。「100選かー。どんなところが選ばれているのかな」と思いながら、パラパラと本をめくっていたとき、あるページに目が止まりました。そこには冬に海から吹き付ける北風によって荒れ狂う雄大な日本海の風景が広がっていたのです。不思議なことに、なぜかその風景に引き付けられ、強烈な懐かしさを感じたのです。何気なくページの右下に書かれていた地名に目をやると、鳥取県泊村と記されていたのです。
驚きと喜びの感情が同時にわき上がってきたのを今でも思い出します。場所は、旧泊村宇谷と旧羽合町宇野の境界線付近の国道九号線から泊港の方を眺めた風景でした。身近にあると当たり前と思い込み、なかなかものの真価には気がつかないものです。しかし、プロの写真家の目で見ると素人には気がつかない美的価値を見つけ出すことができるのです。
湯梨浜町内の砂浜は、毎年5月中旬に行われる海岸一斉清掃により、地域住民によって守られています。しかし、近年は年間を通して海から打ち上げられる漂流物が多く、砂浜の環境保全の維持が困難になってきています。湯梨浜町内に広がる砂浜は、とても貴重な自然環境です。その価値を伝えるとともに、保全に向けた意識を高めていきたいです。
