続、ホルモン焼きそば
風景
平日の昼にも関わらず、開店前から行列ができていました
3月2日付のブログで「浜千鳥」さんのお店のホルモン焼きそばについて紹介して以降、無性に「まつや」さんのホルソバが食べたくなってきました。松重さんが出演した『孤独のグルメ』がTV放映されたのは、令和元年(2019)11月でした。
放映直後の入店は不可能と判断し、翌年の2月頃の平日に出かけたように思います。その時の圧倒的な感動の記憶をもとに、「浜千鳥」さんの取材も含めて、「ホルモン焼きそば」のブログを発信しました。
初めて「まつや」さんのホルソバを食べてから4年余りが経っています。ブログで紹介したものの、記憶のかなたの印象をたよりにお伝えしたので、感覚、いや食感のずれが生じたブログになっていたのではないか、と不安感が胸をよぎりました。「よし!久しぶりに“まつや”さんへ行ってこよう」と思い立ち、今回も平日の昼に出かけました。
「まつや」さんは、鳥取駅前から車で5分ほどの所にあります。鳥取駅前の道を東に向かって直進し、鳥取県庁方面の標識が見える交差点を左折し、しばらくすると、道路の左手にお店の看板が見えてきます。何と、平日の開店20分前なのに、すでに行列ができていました。「入店できるかなあ?」と、少し心配になりましたが、開店を待ちながら素直に行列に並ぶことにしました。
手持無沙汰だったので、並んでいる近くの人たちに「どちらから来られましたか?」と声掛けをしました。すると、三重県、大阪、岡山、全て県外の方でした。入店後に店主に県外客の来店状況を尋ねてみると、北は北海道から南は九州まで、全国から来店しているとのことでした。『孤独のグルメ』の集客力は絶大です。
開店直前に店員さんがお店から出て来られて、入店の順番と人数確認をされていました。私は入店OKだったので、ほっとしました。4年前は、松重さんが座っていたカウンター席に運よくすわることができましたが、今回は店の奥側のカウンター席でした。
行列ができていたこともあり、開店即満席状態でした。カウンター席が12席と6人分の鉄板つきの二人掛けの席がありました。最大収容人数は18名です。当然ですが、入店できなかった人は空席待ちとなります。

店員さんが注文を取り始めましたが、お客さんのお目当ては、全員がホルモン焼きそば、“ホルソバ”です。まずホルソバを注文してから、好みに応じて追加注文します。しかし、ホルソバ以外にも人気の食材があるので、最初から注文しないと品切れになり、口にすることができなくなってしまいます。
私は、前回同様、ホルソバと“オーカク”を注文しました。オーカクとは、牛の横隔膜にあたる部位のことで、牛一頭から約2㎏しか取れない希少部位だと言われています。人気NO.1はオーカクで、次が“サイコロステーキ”のようでした。
カウンター席には、松重さんが座った席の前と、私が座っている席の前の二か所に大きな鉄板があります。開店するや否や、店主とお姉さんがタイミングを見計らいながらホルソバを焼き続けます。
熱々の鉄板にホルモンが投じられると、ジュージューと鉄板焼き特有の音が発せられ、食欲をそそられます。まつやさんのホルモンは白っぽい色をしていてプリプリ感があり、一目で新鮮さが伝わります。しばらくすると、緑色のネギが投じられ、いっそう見た目の鮮度が高まります。

白色のホルモンもネギも鮮度が抜群です
満席状態なので、一つの鉄板で一度に三人分のホルソバを焼き上げます。手のひら一杯につかんだ“もやし”が投じられると、ボリューム感が加わり、高鳴るジュジュー音が食欲をかき立てます。

最後にソバ麺を投じてかき混ぜると出来上がりです。ホルソバを焼いているおばさんの小手先を見ていると、ソバとホルモンの分量が均等に三等分されるように入念なチェックをされていました。欲深い目で見つめていた私の前に届いたホルソバは、確かに三分の一の分量でした。おばさん、さすが!です。

まつやさんのホルソバは、小皿に出された秘伝の味噌ダレをつけて食べます。一般的な焼きそばは、そばにタレをかけて一緒にかき混ぜて仕上げます。そのやり方だと、均一な味にできるのですが、お客さんは味噌ダレの分量を自分好みに調整しながら風味を楽しむことができません。店主はホルソバの最後の仕上げをお客さんに託そうと意図したのではないでしょうか。

まつやさんの秘伝の味噌ダレです
三人分の分量で焼き上げたからなのか、ホルモンとネギともやしのコラボが絶妙な味覚を生み出していました。麺は太麺ですが、口当たりがよく、のど越しの良いやわらかさです。寒気が戻り、肌寒い日でしたが、こんな日こそホルソバを食べると心も体も幸福感で満たされるのです。

ホルソバを食べ始めると、今度は店主がオーカクを調理し始めました。鉄板に投じられた3人分のオーカクは色艶がよく、間違いなく鮮度は抜群です。オーカクについても調理順に説明したいのですが、今日のブログはホルソバがメインなので、割愛します。ホルソバもそうですが、鉄板で焼き上げる料理は、なぜか目が釘付けになってしまいます。オーカクの味は、オーカク!いやばっちり、合格!でしたよ。

この色艶をご覧ください。明らかに鮮度は抜群です

この日も店内で食べているお客様は誰もが幸せそうな表情でした。「まつや」さんが人気店である最大の理由は、ホルソバが美味しいことですが、もう一つの理由は、一歩店内に入ると「昭和の時代にタイムスリップ」できることです。
おそらくは、お店が開店して以降、店内も外回りもほとんど開店当時のままだと思われます。そのおかげで、私たちは昭和の舞台装置の中で飲食できる幸運に恵まれることができたのです。タオルでねじり鉢巻きをした店主の風貌も昭和感があふれています。
『孤独のグルメ』で一躍メジャーデビューとなった“まつや”さんが今後も永遠に続くことを願っています。間違いなく“まつや”さんは「大衆食堂の日本遺産」だと私は確信しています。ユネスコの規定に、「大衆食堂」の分野はありませんが、是非とも設けてほしいものです。第1号には、きっと“まつや”さんが認定されることでしょう。

美味しそうな「おでん」もあるのですが、ホルソバとオーカクを食べるとおなかが一杯になるのでおでんは注文しませんでした
