ふろしきまんじゅう
風景

今回紹介するのは、鳥取県の中部地区の琴浦町にある(有)山本おたふく堂の「ふろしきまんじゅう」です。山本おたふく堂は、今から157年前の明治元年創業の老舗中の老舗です。全国菓子博覧会で名誉総裁賞を受賞し、皇室献上品にも選ばれた鳥取県を代表する銘菓です。私は、6月21日に紹介した「打吹公園だんご」と、この「ふろしきまんじゅう」は鳥取県の和菓子の横綱レベルの逸品だと確信しています。
私は和菓子の鑑定官ではありませんが、銘菓と呼ばれる和菓子は、3つの条件を兼ね備えていると考えています。一つは、“菓名”と呼ばれる和菓子のネーミングの良さです。「ふろしきまんじゅう」は、「風呂敷饅頭」でも、「風呂敷まんじゅう」でも、「ふろしき饅頭」でもありません。全て、ひらがなです。ひらがなの名前なので、親しみやすさが感じられるのです。
二つ目は、和菓子の形状が生み出す“品格”です。ふろしきまんじゅうは、実にシンプルな形でかわいらしさが感じられます。まんじゅうの大きさも、大きからず小さからず、手頃な大きさです。
幼子(おさなご)の掌に載せるとちょうど良いくらいの大きさです。創業当時は手作りで、あんこを風呂敷に包むように四隅を整えたことから、「ふろしきまんじゅう」と命名されたそうです。
包装も斬新です。茶色の包装紙は「風呂敷」がイメージされます。開くと、杉皮に包まれた品物が現れます。「まんじゅうはどこだ!この中か!」心がワクワクしてまんじゅうとの出会いに緊張感が走ります。
開くと、おいしそうな8個のまんじゅうが、にっこりと微笑んで姿を現すのです。驚くことに、購入してからまんじゅうと出会うまでの間に短い心のドラマが組み込まれているのです。

杉皮に包まれた“ふろしきまんじゅう”

三つ目は、もちろん、“味”です。和菓子のおいしさ、です。山本おたふく堂のパンフレットには、「今も親しまれる飽きない懐かしい味」と書かれています。甘すぎず、柔らかく、皮とあんこの取り合わせが絶妙なのです。ひとつ食べるともうひとつ食べたくなります。味と手頃な大きさが生み出す魔術かもしれません。

明治、大正、昭和、平成、令和と、「ふろしきまんじゅう」一筋でお店が続いているということは、「ふろしきまんじゅう」を愛する人たちの広がりが果てしなく広いということです。親から子へ、子から孫へとつながっているのです。
昭和40年代から平成の中頃まで、鳥取県中部地区では、地域の運動会や小中学校の運動会が開かれた時には、バザーが設けられていました。そのバザーの目玉商品が「ふろしきまんじゅう」と「打吹公園だんご」だったのです。
初めて鳥取県にお越しのお客様は、お土産選びに悩まれると思いますが、是非一度、「ふろしきまんじゅう」をお試しください。きっと、やみつきになりますよ。一袋8個入りなら、一人でペロリと食べてしまいたくなる衝動を抑えきれないかもしれませんよ。

明治元年創業「山本おたふく堂」(琴浦町)

全国菓子博覧会で「名誉総裁賞」を受賞
