農家民宿 梨楽庵ブログ

しじみ汁

風景

 宿泊されたお客様にお出しする朝食の定番のお汁が「しじみ汁」です。修学旅行生に「朝食のお汁は、しじみ汁ですよ。」と声をかけると、すかさず、「知ってまーす。テレビのコマーシャルでやってる、シジミ習慣のあれでしょ。大好きでーす」

 健康食であることは、子供たちもよく知っています。お客様にしじみ汁を提供して、嫌な顔をされたことは一度もありません。半数程度は決まって、「おかわり」をされます。しじみ汁の人気は抜群です。

 「しじみ貝」の採集地として全国的に有名なのが島根県の「宍道湖」です。現在、NHKの朝ドラ『ばけばけ』が放送されています。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻、小泉セツがヒロインで、舞台は宍道湖に面した松江市です。

 『ばけばけ』の放送が開始すると、毎日のように食事の場面が設定され、「しじみ汁」が登場しています。ヒロインのセツを演じる高石あかりさんが「しじみ汁」を一口飲んでから、満足感一杯な表情で「ハー!」と一息吐きます。

 この場面を見るたびに全国の視聴者の方たちは、「私も松江に行って、しじみ汁を飲んでみたいな」と思っているにちがいありません。番組を通して「しじみ汁」は絶大な松江観光大使となっています。

 宍道湖は、しじみ貝の収穫量は全国トップレベルで、松江周辺の温泉旅館やホテルだけでなく、関西方面を中心に大量に出荷されています。しかし、宍道湖のしじみ貝は、長年にわたり大量に収穫され続けてきたために、しじみ貝がやや小粒になっています。

 実は、しじみ貝は、湯梨浜町内のど真ん中に位置する「東郷池」でも収穫できるのです。できるもできる。大粒のしじみ貝がたくさん収穫できるのです。一時期は、大量に収穫されたため、数量も激減し、貝も小粒になりました。

 しかし、収穫作業に使う鋤簾(じょれん)の編み目の大きさを規制したりして、資源保護に取り組んだ結果、再び、大粒のしじみ貝が収穫できるようになったのです。

 地元では、大粒のしじみ貝を「黒いダイヤ」と呼んでいます。全国的には、まだまだ無名ですが、知る人ぞ知る「黒いダイヤのしじみ汁」を梨楽庵では「おかわり」しながら満喫することができるのです。

 しじみ貝は、淡水(真水)と海水が混じり合った「汽水湖」という特別な環境の中で生育します。東郷池は橋津川で海とつながっています。なので、海からの栄養分と池の栄養分が微妙に混ざり合って、しじみ貝に適した環境を生み出したのです。しじみ貝の生育環境について、し・み・じみ、と思いを馳せながら、「しじみ汁」を味わうのも一興です。 

東郷池と日本海は、約1.8㎞の短い橋津川でつながっています

*東郷池のしじみ漁については、令和5年7月28日にNHK「小さな旅」で放送され、BSでも再放送され、さらには、総合テレビでも放送されました。