農家民宿 梨楽庵ブログ

映画『遥かなる町へ』

梨楽庵

    白壁土蔵群が映画の中心的なロケ地でした

 令和7年は倉吉市に2つの大きなスポットライトが当たった一年でした。春3月には全国で最後発となった鳥取県立美術館が開館しました。集客の目玉として県が約3億円で購入したアンディ・ウォーホルの「ブリロの箱」が物議を醸しましたが、次々と多彩な企画展示が行われ、好スタートを切りました。

 2つ目は、鳥取市出身の漫画家谷口ジロー原作の『遥かな町へ』の映画撮影が8月中旬から1か月余り行われたことです。中心的なロケ地は白壁土蔵群周辺で、湯梨浜町内でも撮影が行われました。

 原作『遥かな町へ』は海外で評価され、ヨーロッパでは数々の漫画賞を受賞しています。2010年、すでにフランスでは原作と同名の映画が公開され、演劇としても上演され人気を博しています。

 私は谷口ジローさんの代表作の一つである、鳥取市が舞台となった『父の暦』は20年ほど前に単行本で読み、非常に感銘を受けた記憶があります。

 先日再読し、戦後に鳥取市を襲った大火災、鳥取大火が背景として詳細に描かれ、私の親戚も鳥取市に住んでいたので、当時の苦難な状況に思いを馳せ、胸に迫るものを感じました。

 しかし、『遥かな町へ』は読んではいませんでしたので、遅ればせながら話題本を図書館で借りて読んでみました。48歳の主人公、博史は、倉吉市に帰省中、亡母が眠る墓前で突如、14歳に舞い戻り、2度目の中学2年生を体験することになります。

 2度目ですが、単なる同じ過去の繰り返しではありません。中学2年生の夏休みに突然失踪した博史の父の心の内を探し求めるサスペンスドラマ風に物語は展開します。

 過去の博史そのままの中学2年生の姿と、48歳になって過去から現在までの未来を知ってしまった奇妙な2つの博史が、混在しながら進んでいく物語は、ワクワクドキドキ感がたまりません。

 博史にとっては幸せに満ちていたはずの家族を、一言の理由も残さず父はなぜ失踪したのか、是非『遥かな町へ』を手に取って、自分なりの正解を見つけてください。

   博史の実家として撮影に使われた古民家

 大人の博史役には、朝ドラ『まんぷく』に出演した大谷亮平さん、博史の母親役には、朝ドラ『ええにょうぼ』でヒロイン役を演じた戸田菜穂さん、父親役には、名脇役として活躍中の滝藤賢一さんが出演しています。

 中学2年生の博史とそのマドンナ役には、オーディションで選ばれた現役の中学2年生の男子と女子が出演しています。若い二人にとっては、将来の名優へのスタートラインとなる映画作品になるかもしれませんね。

 映画は完成し試写会が行われたことが報道されました。今春から国内外の各種映画祭に出品され、秋には全国公開される予定です。原作がどのように映画化されたのか、待ち遠しくて仕方がありません。

映画の公開までに是非、ご一読ください(上下2巻)

〈 追記 〉このブログの文面を700文字以内にして投稿しましたところ、有難いことに、地元の日本海新聞に掲載していただきました。新聞に掲載されると、恥ずかしくもあり、嬉しくもあり、誇らしさも感じました。

令和8年3月30日付の日本海新聞に掲載されました(「広場」覧)