農家民宿 梨楽庵ブログ

春に向けて

梨楽庵

    伯耆富士「大山」の雪景色

   春を待つ「ゴールド二十世紀梨」の木

    イチジクの木の冬の姿です。

   しだれ梅のつぼみがふくらんでいます。

   この木は『北国の春』のコブシです。

   冬木立 黙して待つは 雪解けの春 

 令和6年がスタートした途端に発生した北陸地方の地震による被災状況をニュースで知る度に心を痛めています。直接的な支援活動はできない自分にもどかしさも感じています。何食わぬ顔をしてブログを書いていてもよいのだろうかと悩みましたが、報道機関ではない個人的なブログなのでお許し願いたいと思います。

 年度初めの地域の行事に参加し、時には空模様を見ながら農作業をやっているうちに、もう2月が迫ってきています。1月20日の「大寒」の頃から2月中旬にかけての時期は一年で最も寒く、山陰地方では積雪量も多く、つらい時期です。毎年のようにインフルエンザが大流行し、体調を崩しやすいのもこの頃です。

 日本の四季の変化に対応した生活の工夫が必要だという認識は、子どもの頃の私には当然ありませんでした。同級生たちが冬でも薄着をしている姿を見ると、何かかっこいいなと感じ、子どもは風の子、元気な子、そんな言葉に迷わされ、薄着にこだわったために風邪を引き、毎年のように高熱を出して寝込んでいたように思い出されます。

 大人になり、大寒の時期と体調を崩す時期がほぼ一致していることにようやく気がつき、それ以降は、この時期が来ると、より一層健康管理に努めています。今年の大寒はそんなに寒くはなかったのですが、先週の半ばに大寒波が襲来し、積雪量も多く、雪かきに追われる毎日でした。降雪は峠を越えましたが、明日から始まる2月は、まだまだ体調管理に気を配らなければなりません。

 暦の上では、1年は1月から始まりますが、日本では役所や会社や学校も4月が新年度のスタート時期になっています。なので、4月始まりでずーと生活していると、仕事は4月から準備し、実りの秋頃に成果をあげ、翌年の3月までは残務処理の意識で生活してきたように思います。

 しかし、よくよく考えて見れば、植物でも動物でも、そして、私たち人間も、春を迎え、新たな年度が始まる4月からの生活で、今年こそ素晴らしい成果を上げようと自分なりの目標を胸に秘めている人は、寒さの厳しい冬のこの時期から着々と準備を進めているのです。

 私はプロ野球の大ファンです。実は2月1日は、プロ野球の選手たちにとっては春のキャンプが始まる特別な日なのです。プロ野球の選手たちは、年間143試合という長いシーズンが終わり、日本一も決まり、国際試合などの全ての日程が終了すると、約1カ月間は心身の休養期間を設けて年間の疲れを取り除きます。そして、正月が明けると、個人や気の合う仲間たちと国内や国外のあちこちで自主トレに励んでいます。

 個人や仲間たちとの基礎体力づくりを終えた選手たちは、2月1日には選手全員が合流し、長い一年間の公式戦をチームとして乗り切り、最終的なチーム目標を達成するための練習に、一丸となって取り組むのです。2月に行うキャンプが成功するか否かが、リーグ優勝し、日本一を達成することができるかどうかの鍵を握っているのです。野球に限らず、プロは結果がすべてです。優勝こそが、精神的にも肉体的にも極限の状態まで追い込み、戦ってきた自分への最大のご褒美であり、癒しとなるのです。

 梨づくりを始めて14年目に入ります。秋に満足のいくものを育てるためには、冬場の作業の“剪定”と“棚づけ”が、とても重要な作業であることが理解できるようになりました。剪定作業では、古い枝や弱った枝を切り落とします。小枝の先に芽を出している、梨の実をならす花芽は、原則1つに絞り、その他の花芽は取り除きます。この見極めが梨づくりの決め手の一つなのです。

 棚づけ作業は、1年後、2年後、3年後を見越して、どの枝を残すのか判断しなければなりません。ここでも神経を使います。そして、梨の枝は麻紐で鉄パイプや針金に固定します。台風シーズンに強風で梨枝が揺れ動き、収穫前の梨の落果を防止するためです。麻紐は毎年ほぼ全てを取り替えて締め直さなければいけません。梨楽庵の梨の木はわずか10本ですが、専業の梨農家の方にとっては大変な作業です。

 プロ野球の選手たちは万全な練習環境の中で鍛えるために、春のキャンプは温暖な気候の九州の宮崎県や沖縄県で主に行われます。しかし、鳥取県が特産の二十世紀梨にとっては、暖かい冬は大敵なのです。梨の木も花芽も、寒さをじっと耐え忍ぶことで、良い梨を実らせる基礎体力が養われるのです。梨の木が折れない程度の積雪も、害虫除去には大歓迎なのです。