農家民宿 梨楽庵ブログ

浦富海岸・島めぐり遊覧船(小型船)

風景

  浦富海岸のシンボルが「千貫松島」です

 小型船は千貫松島の洞門を潜り抜けるのです

 白粉の断崖(おしろいのだんがい)に最接近

 岩燕洞門(いわつばめどうもん)の中にカヤックが入ります

   洞門の中はとても神秘的でした

浦富海岸は花崗岩の岩石なので浸食や風化が進みます

            岩石海岸が迫ってきます

  蜩(ひぐらし)洞門付近は海の透明度がすごいです

  浦富海岸は見飽きることがありません

  観音浦付近です。この日は波が穏やかでした

カヤックを楽しんでいる人たちを何度も見かけました

  駱駝島と石垣島付近も透明度は抜群でした

  菜種島の影が海面に浮かんで見えました

 菜種島の海食洞です。透き通るような海の色でした

見る場所、見る角度で、「岩美ブルー」は変化します

 小型船では浦富海岸の自然美をより堪能できます

 8月9日のブログですでに浦富海岸の島めぐり遊覧の乗船体験の素晴らしさについては紹介しています。私自身がこれまでに何度も乗船し、いつも十分以上に満足感を味わってきました。県外から来県した知人を案内すると誰もが大喜びされます。千葉県の知人は、「鳥取が南国の県だと初めて認識しました。自分はダイビングが趣味なんですが、いつかこのきれいな海の中を潜ってみたいです」と話されていました。遊覧船体験は鳥取県のイメージアップに大きな力を発揮しているのです。

 十分満足しているにも関わらず、なぜ再び島めぐりについてブログ発信されるのですか?と疑問に思われるかもしれません。追加発信する理由は、ブログ発信するために数年ぶりに遊覧船に乗り、浦富海岸の海岸美に感動し、皆様にイチ推しでお勧めして満足感にひたっていたら、突然、浦富海岸からお𠮟りを受けたからです。「梨楽庵のオーナーさん、あなたは私の素晴らしさを全国の皆様に紹介し、満足されたようですが、まだまだ伝えきれていませんよ。一度、小型船に乗ってごらんなさい。私の忠告が分かるはずですから。」

 敬愛する浦富海岸の忠告を素直に受け止め、小型船の遊覧体験をしてきました。結論は、浦富海岸さんのおっしゃる通りでした。私は浦富海岸の自然美を不十分な理解のまま、ドヤ顔をしてお伝えしていたのです。今回も伝えきれないのを覚悟で、小型船の感動体験をお伝えします。

 小型船は定員が12名なので、大人数のときは3隻に分乗します。取材日はお盆前の平日でしたが、私の船は満席でした。遊覧船と違って小型船は座席から海面が近く、海の上に浮かんでいる感じがします。午前10時15分、小型船は田後港を出港し、スピードを上げて目的地に向かいました。

 田後港を出るやいなや、小型船は右に大きく旋回し、断崖や奇岩が続く岩場に接近していきました。浦富海岸一帯は、今から約3300万年前、まだ日本海ができていなかった時代、つまり日本列島が大陸と陸続きだった時代に形成された「花崗岩」でできた岩石海岸なのです。

 花崗岩は地中の奥深くでマグマがゆっくりと冷却されてできる岩石です。大陸で形成された花崗岩の大地が大陸から離れ始め、その後の様々な地殻変動によって日本列島が形成された時、地表に顔を出した花崗岩が浦富海岸の花崗岩なのです。

 海沿いに顔を出した花崗岩の陸地は、日本海の荒波によって岩石の割れ目や断層に沿って浸食が進み、冬に吹き荒れる北西の季節風や暴風雨などによって風化も進み、断崖や洞門、洞窟や離れ島などの個性豊かな海岸地形が形成されたのです。つまり、浦富海岸は、気の遠くなるような長い年月の間に、大自然の力によって生み出された奇跡的な造形美に満ち溢れた場所なのです。

 浦富海岸の説明に少し力が入り過ぎました。小型船はスピードを落として岩場に接近していきました。小型船の最大の魅力は、遊覧船では通れない狭い航路を通って洞門や洞窟に入り、水深の浅い入り江にも入ることができることです。小型船が岩場に近づくと、花崗岩の割れ目や断層が鮮やかに見えるのです。遊覧船でも断崖や洞門、洞窟の姿は見えるのですが、岩が迫りくる圧迫感は感じませんでした。しかし、小型船に乗っていると、岩場に近づいていくのは船の方なのですが、感覚的には巨大な岩場が私たちの方に迫ってくるように感じられて、圧倒されるのです。

 この感覚を過去に一度だけ経験した記憶がよみがえってきました。それは今から30数年前に信州方面を旅行した時のことでした。たまたま地図を見て、「鬼押し出し」という観光地を訪れました。何と、そこは江戸時代に浅間山の大噴火によってできた大規模な溶岩地形の現場だったのです。あたり一面に広がる溶岩台地の、見たこともない独特な地形に強烈な衝撃を受けたことを今でもありありと思い出すことができます。

 陸の上の溶岩地形とは異なって、海の上から迫りくる岩石海岸を見るのはより一層ワクワクします。しばらくすると、遊覧船でも見た「千貫松島(せんがんまつしま)」が見えてきます。驚いたことに、何と何と、小型船は千貫松島の洞門の中を通り抜けしたのです。千貫松島の名付け親の鳥取藩2代目藩主、池田綱清公も通り抜けしたのでしょうか?

 小型船は「白粉の断崖(おしろいのだんがい)」にも接近するので、野生の鵜(う)の糞(フン)だと言われる白色も間近に見ることができました。小型船は岩と岩の間を通って、「観音浦」や「蜩(ひぐらし)洞門」などの景勝地を進んで行きました。この辺りでは、前後左右どの方向を見てもカメラのシャッターを切りたくなる風景が次々と現れるのです。遊覧船から眺めた時は風景が平面的に見えたのですが、小型船では風景が立体映像となって迫ってくるように感じました。

 小型船は鴨ケ磯(かもがいそ)海岸の沖に入っていきました。鴨ケ磯海岸から城原(しらわら)海岸の海域は、海中景観が特に優れているので「海域公園」に指定されています。ここでは「箱メガネ」で海中を観察することができるのです。その時の天候次第で透明度は違いますが、鴨ケ磯海岸で海中観察ができるのは小型船の魅力の一つなのです。船頭さんのお話では、この日はここ数日の中でも最も透明度が高いとのことでした。岩美町の海の青さは、「岩美ブルー」と呼ばれています。今見ているのが、まさしく「岩美ブルー」なのです。

 鴨ケ磯海岸を抜けると、小型船は駱駝(らくだ)島と石垣島の間を通って菜種五島に向かいました。菜種五島は城原(しらわら)海岸側から眺める景観が有名です。船頭さんの説明によると、大昔、五島は一続きの島でしたが、海食と風化によって現在の姿になったそうです。この日は海面が穏やかでほとんど波のない「べた凪(なぎ)」だったので、幸運なことに、海面に浮かんだ菜種島の影を初めて見ることができました。小型船は五島の中で一番大きな「菜種島」をぐるりと回っていきました。ここからも大小の洞門を見ることができました。陸側の城原海岸側からは見えない角度なのでお得感がありました。

 菜種島を通過すると、小型船は一気にスピードを上げて網代港へと向かい、無事に船着き場へ到着しました。小型船の乗船時間は遊覧船と同じくおよそ40分です。小型船の唯一の難点は波が高く、気候条件が合わないと運航できないことです。前日は運航できたのに当日はできないこともあります。旅行計画を立てにくいのですが、遊覧船を体験された方には、次回は是非とも小型船の体験をイチ推し、いや、二推し、三推しいたします。