二十世紀梨の収穫
梨楽庵
9月上旬は二十世紀梨の収穫適期です
大玉の梨は梨袋を破る生命力があります
酷暑に耐えて瑞々しい梨が実りました
梨楽庵の車庫で作業して進物用の梨箱をつくります
専用の梨箱でお届けします。5㎏、12個入りです
梨の栽培に本格的に取り組み始めて、今年で14年目になります。栽培歴が10年以上になると、ベテランの域に達して、梨栽培も楽になったのではありませんかと、お思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
違います。マンネリに陥る気持ちにはなりません。梨栽培にかかわらず、農作業は一年一年が勝負です。毎年自然条件が異なり、自作の梨栽培暦を作成していても、年により、一週間から10日ほど、作業日がずれることが殆どです。
昨年は餌(えさ)不足のためか、カラスの活動が早まりました。二十世紀などの青梨は、病気を防ぐために2回袋かけをします。1回目は小袋かけ、2回目は大袋かけと呼びます。例年なら6月初めに大袋かけをして、梨の実が大きくなった7月上旬ごろになると、カラスが大袋を破り梨の実を食べ始めるのですが、何と昨年は大袋をかけた直後から、袋を破り始めたのです。そのため、1ヶ月前倒しして、あわててカラス対策を行いました。今年は冬の間に新たなカラス対策を施したので、カラスによる被害はほとんどありませんでした。
今年は酷暑と雨不足が悩みの種でした。7月下旬に梅雨明けして以降、ほとんど日中に雨らしい雨が降った記憶がありません。数日ほど夜中に降雨がありましたが、野菜には適量でも果樹には焼け石に水程度です。しかし、幸いなことに、梨楽庵の果樹園には小さな谷川が流れています。この谷川の水をタンクに貯めて、果樹園の地面の乾燥状況を判断しながら散水することができるのです。年中枯れることがない谷川があったからこそ、父母の時代には米づくりも行っていたのです。
先月、台風10号が日本列島を直撃しました。湯梨浜町内も雨は降り続いたものの、予想外に風が弱く、幸いなことに、台風による梨の落果被害はありませんでした。台風の通過後は、天候に恵まれ、今年も何とか収穫できる日を迎えることができました。
しかし、初収穫した日に異変に気が付きました。進物用に適した梨の個数が著しく少ないのです。「これでは例年通りの進物用の5㎏箱が準備できないかもしれない」収穫作業を手伝っていた妻も不安な表情を浮かべていました。
毎年のように近年、夏は連日猛暑です。今年のような猛暑以上の酷暑が続くと、何らかの影響がでるのではないかと心配していましたが、……。人間は屋内ならエアコンで、屋外ならミストシャワー等で対応できますが、果樹園には取り付けできません。「大丈夫ですか?」と問いかけても、梨の木は黙して語りませんが、この酷暑で体力を消耗していたのかもしれません。
何とか進物用の梨を準備し、遅くとも週明け早々には親戚、友人、知人の方たちにお届けすることができそうです。喜んでいだだけると大変うれしいです。今はほっと一息ついていますが、来年度以降は酷暑に対してどんな対策を取ればいいのか、夏休みの宿題が未解決のまま残ってしまった中学生の心境です。