とんぼのめがね
梨楽庵
梨箱のコンテナボックスに止まったトンボです
ネットの昆虫図鑑で調べたらオオシオカラトンボのようです
梨を収穫後の果樹園です。お礼肥えをしています
草を利用して蜘蛛が見事な巣をつくっていました
畑を耕して、冬野菜の苗を植えました
春に挿し木をしたイチジクの苗木が成長しています
今年の8月は猛暑というよりも酷暑の日が多かったように感じました。猛暑日は「猛烈な暑さ」の意味で、日中の最高気温が35℃以上の日のことを言います。酷暑については気象庁の定義はないようですが、日本気象協会では、日中の最高気温が40℃以上の日を酷暑日と呼んでいるようです。
秋の彼岸が過ぎて、ようやく朝晩の気温も下がり、秋らしさが感じられるようになりました。梨楽庵の裏庭や、果樹園では「とんぼ」が元気よく、縦横無尽に飛んでいます。数年前のことです。町内の「こども園」に出かける機会がありました。会議が始まる前に、こども園が新たに取り組まれた「リズム遊び」の様子を遊戯室で見せていただきました。
遊戯室に入ると、0歳児から5歳児までの園児が元気なあいさつと笑顔で私たちを迎えてくれました。リズム遊びは、ピアノの伴奏に合わせて、跳んだり、走ったり、回転したりして、いろいろな動きをしながら体づくりを行う活動でした。
リズム遊びの動きの一つに、両手をまっすぐ左右に伸ばして、ピアノの伴奏に合わせながら遊戯室の周りを大きく旋回する運動がありました。園児たちはピアノの曲目「とんぼのめがね」を元気よく歌いながら、気持ちよさそうに走り回っていました。「とんぼのめがねはみずいろめがね、あーおいおそらをとんだからー、とーんだからー」
久しぶりに耳にする「とんぼのめがね」の歌声とピアノが奏でるメロディーを聞きながら、目をきらきらと輝かせてトンボになりきって動き回っている子どもたちを見ていると、自分が幼い頃にもきっと園児たちのように声を張り上げて歌っていたのかもしれないな、と想像し、なぜか心がジーンとしてきました。
「とんぼのめがねは水色めがね、青いお空を飛んだからー、飛んだからー」なるほど、そうなんだ。とんぼのめがねが水色なのは、真っ青な空を飛んだからなんだよね。園児たちはこども園の先生たちの教えを、まっさらな、純真な気持ちで素直に受け止めているので、トンボになりきって楽しそうに動いているのだな、そう感じたのです。
何事も素直な心で受け止める「とんぼのめがね」をかけた子どもたちを見ていると、大人の私が自分中心の色眼鏡をかけて世の中の出来事や周りの人たちを評価していることに気づかされ、恥ずかしくなってきたのです。小学校、中学校、高等学校、大学と、それなりに勉学を続け、教職に就いてからもいろいろなことを研修し学んできたはずなのに……。いまだに自分中心の色眼鏡をかけ続け、しかも度数を重くしてきただけなのではないかと。
確かに、物事を深く考えることもなく、ただ単に鵜呑みにするだけではいけませんが、あらゆることを無垢な気持ちで受け止め、自分の中に取り込もうとする姿勢は大切な生き方なのではないでしょうか。子どもたちの成長の度合いが著しいのは、素直な気持ちで学ぼうとする心の姿勢があるからなのかもしれません。ややもすると、多くの体験から得た経験値が逆に邪魔をして、大人の伸びしろを縮めているのかもしれません。自己反省するきっかけとなったこども園の訪問でした。