農家民宿 梨楽庵ブログ

ホルモン焼きそば

風景

今や「まつや」さんは“ホルモン焼きそば”の聖地です

 今から20年ほど前、安い値段で庶民が気軽に食べられる料理を考案し、ご当地B級グルメとして地域おこしに活用しようという社会現象が全国各地に広がりました。バブル経済の時期に大都会で狂乱した超高級グルメブームに対する地方の反乱の意味が少なからずはあったのかもしれません。

 平成18年(2006)、地域活性化を目的とする町おこしのためのイベントとして開催されたB-1グランプリは、B級グルメブームの火付け役となりました。近年、ブームは下火となりましたが、今なお、地方では観光客を呼び込むご当地グルメとしてアピールしています。

 鳥取県のご当地B級グルメとして人気を博しているのが「牛骨ラーメン」です。すでに令和5年10月23日付のブログで紹介していますので、ご覧ください。牛骨ラーメンについては先月、地元TV局が特番で放送しています。私には、牛骨ラーメンの一大ブームが近づいている予感がします。

 さて、本題に入ります。牛骨ラーメンは、鳥取県中部地区と西部地区のご当地グルメですが、「ホルモン焼きそば」は、鳥取県東部地区で半世紀近く愛され続けているご当地グルメです。牛のホルモンが入った焼きそばのことで、入店すると、常連客は「ホルソバ」と一声かけて注文します。

 昭和30年代に、鳥取市内の焼き肉屋やホルモン屋で、ホルモンと野菜を味噌ダレで炒めた後に、中華そばを入れて炒めてみると、想定外に美味しかったことがきっかけでお店の定番メニューとなり、庶民の味として根強い人気となっています。

 鳥取市内のホルモン焼きそばの一番人気店は「まつや」さんです。令和元年(2019)11月22日、『孤独のグルメSeason8第8話』でTV放映されて以来、人気はうなぎ登り。カウンター席と畳の席がありますが、18人ほどで満席となり、週末は入店するのが困難です。

 私は「まつや」さんのことは知りませんでしたが、TVで視聴し、松重さんが美味しそうに食べている姿を見て、ジュージューと鉄板で焼き上がる食材について松重さんが心の中で語る一言一句に食欲をそそられました。

 後日、妻と一緒に平日に出かけ、グルメ体験をしました。たまたま松重さんが座っていたカウンター席が空いていたので、ラッキーと思い着席しました。ホルソバはやっぱり美味しかったです。好みに応じて味噌ダレをつけて食べるのもこの日が初めての体験だったので新鮮でした。

 店内で食べているお客様は誰もが幸せそうな表情でした。「まつや」さんが人気店である最大の理由は、ホルソバが美味しいことですが、もう一つの理由は、一歩店内に入ると「昭和の時代にタイムスリップ」できることです。「まつや」さん以外にも、鳥取県には昭和の雰囲気が色濃く残ったお店がまだまだ生き続けています。

 「まつや」さん以外で私の一推しは、鳥取市青谷町の海の近くにある「浜千鳥」さんです。梨楽庵からは約8分で行ける、「美味しくて、安くて、近い」地元で愛されている名店です。しばらくの間お店には行っていませんでしたが、ブログ取材を兼ねて、久しぶりに入店しました。

   入店前からワクワクしてきます

 驚いたことに、以前は70歳代のおばあさんが元気な姿で調理をしていましたが、お亡くなりになられて娘さんに代替わりされていました。窓辺に目をやると、おばあさんの小さな写真立てが置かれていました。娘さんの仕事を見守っておられるのにちがいありません。

 ホルソバの麺は口当たりがよく、スルスルっと喉越しも良く、大盛でも軽く食べられるように感じました。ここでも秘伝の味噌ダレが小皿に入れて出されました。味噌ダレをつけなくても十分美味しいのですが、気分に応じてチョッピリつけて食べると、また一味違った風味を味わうことができる楽しみがあります。

 浜千鳥さんで食事をしたら多くの人がまたリピートしたくなると思います。ホルソバは一度食べたらまた食べたくなる味であり、手頃なお値段だということもあります。しかし、最大の理由は、浜千鳥さんもまつやさんと同じく、昭和の時代の舞台セットに囲まれて食事をしている感覚に陥る魔力を秘めているからだと私は確信しています。夜には昭和感はさらにアップするのではないでしょうか。

   新鮮さが抜群のホルモンです

 ビールが飲みたくなりますが、我慢、ガマンです

   秘伝の味噌ダレをつけて食べます

  この中に秘伝の味噌ダレが入っています

   店内は昭和の雰囲気が漂っています

 浜千鳥さんはホルソバが一番人気なのですが、再びホルソバを食べたくなって出かけた時、食べ終わったラーメン丼がテーブル席に2つ置かれていました。2つともスープも麺も完食です。

 「お品書きに“ラーメン”ってあるけど、もしかして牛骨ラーメンかな?」と興味がわいたので、次回に挑戦することにしました。もちろん、この日のホルソバも満足、満足でした。

 数日後の平日の午前11時30分ごろ、いざ浜千鳥!この時間帯ならほぼ間違いなく入店できます。予想通りお客さんは私一人。早速、おかみさんに「ラーメンとホルソバではなく、単品のモルモンをお願いします」と注文しました。

シンプル、イズ、ベストです。ラーメンも昭和の味です

 ラーメンはおかみさんではなく、奥の厨房でご主人が作られていました。出てきたラーメンは見た目も牛骨ラーメンとよく似ていましたが、醬油味のラーメンでした。スープが優しい味で牛骨に近い感じがしました。

 醤油味が梨楽庵で使っている大好きな醤油味と非常に似通っていたので「おかみさん、これは地元の山崎さんの醤油ですか?薄口醤油ですか?」と尋ねたところ、その通りでした。

 また余談になりますが、鳥取市青谷町の山崎醤油さんの醤油は絶品で、鳥取市内を中心に販売されています。牛骨スープではないのに、このまろやかな口当たりには感服しました。さずがは、山崎醤油さんです。

 山崎醤油さんとは私の父母が生前にご縁をいただき、そのおかげで、毎年、山崎醤油さんからは梨楽庵の二十世紀梨をお買い上げいただいています。ありがたいことです。

 最後に紹介したいホルモン焼きそばは、梨楽庵から0分で行ける場所にあるホルソバです。それは、奥さんが自宅のホットプレートで作るホルソバです。現職の頃、一時期、ホルソバの美味しさに取り付かれ、2週間に1回程度ホルソバを奥さんにお願いしていました。

 鳥取市内のスーパーで販売されている青山製麺の生麺とオタフクの焼きそば用のソースを組み合わせると、絶妙な味を生み出すことがわかったのです。奥さん手製のホルソバを食べながら「これ、やっぱり何度食べてもおいしいよ。お店が開けるかもしれないね」と声をかけると、また得意の冗談が始まったね、というような顔をしながらも、幾分か笑みを浮かべているように見えました。

 ブログを読んでくださっている県外の皆様、次回鳥取にお越しの際は、旅程の中にホルモン焼きそばを加えてみてはいかがでしょうか。さて、今回紹介しました中から、一体どのお店を選択されるのでしょうか?ネ?

冬には梨楽庵の裏の浜に浜千鳥を見かけます。何と、この日は浜千鳥が砂の中に穴を掘って一休みしていました。こんな姿を見たのは初めてでした。ゆっくりと近寄ってズームで撮影しました

天気が良かったので日向ぼっこをしているみたいです。こんな様子は本当に初めて見ます。

私に気づいたのか、危険を感じて一羽が立ち上がりました

最後尾のリーダーの合図があったのか、全員立ち上がり、このあと飛び去っていきました。浜千鳥さんたち、安らいでいたのに、ごめんなさーい!