大山隠岐国立公園①
風景

ふるさとの名峰、“伯耆富士 大山(だいせん)”
鳥取県を代表する海の国立公園が“山陰海岸国立公園”です。一方、「山」の国立公園が“大山隠岐国立公園”です。この国立公園は、“大山”と“隠岐”、つまり、山の国立公園である大山と日本海の沖合にある、絶景海岸に囲まれた隠岐島と、断崖と岩場で入り組んだ海岸線が美しい島根半島を合わせた国立公園なのです。
しかも、山の国立公園の領域は大山だけでなく、島根県の三瓶山(さんべさん)周辺と、鳥取県と岡山県の県境に位置し、西の軽井沢と呼ばれる「蒜山(ひるぜん)高原」周辺も含まれるのです。

西の軽井沢と呼ばれる“蒜山(ひるぜん)高原”
昭和11年(1936年)2月1日、大山国立公園として誕生し、その後に国立公園の範囲が追加指定されて、今の大山隠岐国立公園となったのです。
深田久弥の名著『日本百名山』の一つであり、大山の西側の米子市方面から眺めた優美な姿は“伯耆富士”と呼ばれ、大山の山の恵みを頂いて生活してきた山麓に住む人々は、大山を“だいせんさん”と親しみを込めて呼んでいます。

平成18年(2006年)、今から19年前にNHK―BS放送で日本の名峰100選が視聴者の人気投票でランキング発表されました。私たち夫婦は、たまたまその時その番組を見ていました。「必ず大山は30位ぐらいには入るぞ」と、番組が進むにつれて、何位になるのだろうかと、ワクワクしながら画面を食い入るように見ていました。
ランキングは、100位から91位、90位から81位と10位がひとまとめに紹介されていました。31位まで紹介された頃から急に不安感が襲ってきました。「もしかしたら、ランキングに入っていないのでは……」
いよいよ、最後のベスト10の発表です。10位…ない。9位…ない。8,7,6,5,4,…ない。ない!ない!!ここまで来ても大山は呼ばれ、ない!!!
私はテレビ画面に向かって不満をぶつけていました。すると突然、アナウンサーが「ベスト3は、ゲストの方が現地に出かけて実際に山に登られました。その時の映像とともに、発表します。では、第3位」
何と映像には恋い焦がれ、待ちに待った、故郷の山“大山”が大きく映し出されているではありませんか。「見て、見て、大山が全国3位だって!鳥取県の人口は全国最少だから、県民が団結して投票しても上位にはならないはずなのに、3位だって!」

番組終了後は、驚きと喜びの余韻にひたったため、晩酌の時間が延長戦に突入してしまいました。今なお、忘れ得ぬ大山の思い出です。 日本の名峰のランキング番組は、その後も何度か放映されたようですが、全国の方々の大山愛のおかげで、どの番組でも3位を死守してきたようです。
ランキング1位が気になる方もおられると思います。当然ながら、富士山(3770票)でした。2位は槍ヶ岳(2403票)でした。3位の大山は、2144票でした。5万件を超える投票数だったそうですから、大山の人気が絶大なことがわかります。
これ以上、大山についてお話ししますと、「そんなことは全部知ってるよ。地元に住んでいるんなら、もっと深い話を聞かせてくれよ」と、全国の熱烈な大山ファンの方からお叱りを受けそうなので、私の大山愛は、ひとまず、これで終わります。
〈 追記 〉
梨楽庵から大山の登山道入り口付近の駐車場までは、車で約50分で到着します。10月下旬から11月上旬にかけて、大山は紅葉の見頃を迎えます。私たちは毎年の恒例行事として大山へドライブに出かけています。
