ジャム3姉妹誕生物語
風景

一昨年から湯梨浜町内の店舗で梨ジャム、いちじくジャム、ゆずジャムの販売を始めています。きっかけは、妻が手作りのジャムを友人や知人にプレゼントしたところ、「おいしかったですよ!」「販売されたらどうですか!」「ネット販売もいいかもしれませんよ!」などと、思いもよらぬ喜びの声を頂戴したからです。
加工食品の販売経験など全くない私でしたが、第二の人生をスタートさせた時から、新しいことに挑戦したい気持ちが強かったので、躊躇している妻を説き伏せ、妻がジャムを製造し、私が販売することをやや強引に決めてしまったのです。

ジャム瓶に添付するシールは絵心のある広島市在住の実姉に依頼しました。身内を褒めるのは憚られますが、姉は絵手紙が趣味で、素人とは思えない画才の持ち主です。
「農家民宿 梨楽庵」の看板のデザインも姉の作品です。弟思いの姉は、お調子者の私の依頼を快く引き受けて、多くの作品を梨楽庵に寄贈してくれています。梨楽庵にお越しの際には、姉の作品をお楽しみください。

梨の加工品は、缶ジュースや梨エキスを取り込んだソフトクリーム、洋菓子類が一般的です。近年は梨ワインも販売されて人気を博しています。梨楽庵の開業当初、お客様から「宿にはお土産品コーナーのような場所はないのですか?あれば購入したいのですが」と問いかけられました。
確かに、多くの温泉旅館やホテルには売店が設けられ、県外客を目当てに郷土の特産品が並べられています。旅の楽しみの一つが買い物であることは間違いありません。
我が宿は農家民宿なので、農業体験をしたり、地元の食材を活用した手作りの食事を楽しんだり、宿でゆっくりとくつろいでいただくことがメインです。
「ミニ売店」の設置は全く念頭にありませんでした。しかし、宿で販売するとなると、旅の思い出となるオリジナルの商品の開発が必要です。お客様の問いかけが、その後のジャムづくりの遠因となったのです。
実は、開業当初は、お客様が到着されると、地元の中学校と高等学校で茶道部の指導を受け持っている妻が点てた抹茶と「梨ようかん」で、おもてなしをしていました。梨ようかんは、梨栽培で家族を支えた母が生前に食べさせてくれた逸品です。
梨の果汁を長時間煮込むと、独特な甘みの梨飴ができます。これを隠し味として小豆餡に含ませると、まろやかな口当たりの梨ようかんが出来上がるのです。梨ようかんの出来具合は、梨飴の出来と小豆餡の出来とその配合の仕方で微妙に変わってきます。妻は母から手ほどきを受け、ほぼ同等の味を受け継いでいます。
しかし、梨ようかんづくりは手間暇がかかり過ぎます。そこで、ひらめいたのが梨ジャムづくりです。梨の品種の中では、二十世紀梨は賞味期限が長いのですが、長期保存はできません。でも、ジャム加工して冷蔵庫で保存すると、半年から1年は賞味できます。
梨ジャムづくりを決意してから、すでに市販されている梨ジャムを何種類か買って食べてみましたが、二人が納得する食感ではありません。保存料が含まれているからかもしれません。
妻の試行錯誤が始まり、ようやく二人が納得できる梨ジャムが完成したので、いちじくジャムとゆずジャムも一緒に姉に依頼したシールを貼って販売を始めました。
3種類のジャムは、女性的なイメージがするので、“ジャム3姉妹”と名づけました。性の多様性が問われる時代なので、批判的なご意見をお持ちの方もあるかもしれませんが、「人」ではなく「ジャム」なので、ご容赦ください。
さて、販売を始めたものの、「本当に買って下さる方がいるのだろうか。もしかしたら、売れないのでお店から引き取りの連絡が入るのではないだろうか」と不安感ばかりが募る日々でした。
ところが、少しずつ少しずつでしたが、お買い求めになるお客様がいらしたのです。梨楽園で収穫した果実を販売するのではなく、自家製の加工食品を一般の店舗に納品し、それを買っていただける喜びを味わうことができた貴重な販売体験でした。
しかし、課題も見つかりました。一般的にジャムはお店では常温で店頭販売されています。3種類のジャムとも販売当初は全く問題がなかったのですが、「梨ジャム」に関しては、常温で店頭に並べておくと「発酵する」危険性があることがわかったのです。
近年、年間を通して気温が高い傾向にあります。特に春先から初夏にかけても季節外れの高温の日があります。夏になると猛暑日や酷暑の日が続き、10月になっても夏日の日があります。そのことが原因なのか、常温では、いや近年の“異常温”では梨ジャムに影響が出てしまうのです。
お客様にお金を支払って購入していただく商品は、1個でも不具合があればお客様にもお店の方にもご迷惑をおかけすることになってしまいます。なので、昨年からは気温が低い時期を見計らって店頭での販売を始めています。
3種類のジャムの原材料は、いずれも梨楽庵の自家農園で栽培した果物です。梨は栽培期間中に何回か農薬散布が必要ですが、二十世紀梨は2回袋かけをして果実の害虫からの防除を行います。2回の袋かけは農薬の防除にもなっていますので、ご安心ください。「いちじく」と「ゆず」は栽培期間中、全く農薬を散布していませんので、ご安心ください。
ジャム3姉妹は、ヨーグルトとの相性が抜群ですが、いろいろな用途で、それぞれの味をお楽しみください。今年は、「ジャム3姉妹」に名前を付けました。梨ジャムは“梨花子(りかこ)”、いちじくジャムは“いち子”、ゆずジャムは“柚子実(ゆずみ)”です。

大山乳業の無糖のヨーグルトとの相性はイチ推しです
ジャム瓶の蓋に貼ってあるキャラクターシールのデザインも姉の作品です。ジャムの味と共に、瓶のデザインもお楽しみいただけると大変うれしいです。妻のジャムづくりを見ていると、かなりの手間暇がかかっているようです。
「何日くらいかかるの?」と聞くと、「時間を見つけて作るので二日から三日よ」との返事でした。原材料の皮をむき、下ごしらえをして大鍋に入れて火にかけます。その後は弱火でじっくりと煮込んだり、冷ましたりの繰り返しのようです。
私は晩酌を終えると早々に寝床に入るのですが、妻にとっては夕食後がジャムづくりの時間のようです。昭和の時代に育った妻なので、実家の母や嫁ぎ先の私の母の夜なべ仕事の様子を思い浮かべながら、ジャムづくりの一人時間を楽しんでいるのかもしれません。昭和の女性は何とも粘り強いことです。
私たちの将来の夢の一つは“ジャム3姉妹”をお客様に喜んでいただける看板商品にしていくことです。ご支援の程、よろしくお願いいたします。
〈 追記 〉
ジャム3姉妹は、JA鳥取中央直売所の“ハワイ夢マート”と“カママハウス(湯梨浜町内のパン屋)”さんで販売しています。ご購入いただきましたら、冷蔵庫での保存をお願いいたします。
自家農園の「ゆず」は、今年は実りが少ない“不なり年(裏年)”のためか、収穫量が極端に少ないです。店頭販売は短期間になりますが、ご容赦ください。
三姉妹のキャラクターは掲載しませんでした。お買い求めいただき、手に取ってお楽しみいただけると、とてもうれしいです。
