農家民宿 梨楽庵ブログ

白壁土蔵群

風景

 “伝統的建造物群保存地区”という言葉を聞いたことがあると思います。少しだけ堅苦しくなりますが、文化庁のホームページを参考にして、語句を説明します。

 今から51年前の昭和50年(1975年)に文化財保護法が改正され、伝統的建造物群保存地区の制度が定められました。その結果、城下町、宿場町、門前町など、全国各地に残る歴史的な集落や町並みを保存する意識が市町村の自治体を中心に高まるようになりました。市町村は保存地区を決定し、保存活用計画を定めなければなりません。

 国は市町村からの申請を受けて、我が国にとって価値が高いと判断したものを「重要」伝統的建造物群保存地区(略して、以下は伝建地区と表記します)に選定し、市町村の保存活用の取り組みに対しては補助や支援を行っています。

 令和6年8月現在、伝建地区は全国43道府県、106市町村で、129地区が指定され保護されています。宿場町で有名なのは、長野県の「妻籠宿」です。江戸時代の景観が見事なまでに復元されています。門前町では京都市の「産寧坂」や「嵯峨鳥居本」が有名です。中国地方では倉敷市の「美観地区」や宮島の門前町の景観が指定されています。

 鳥取県内は3か所が指定されています。農村集落として大山町所子(ところご)が、商家町としては若狭町の町並みと倉吉市の玉川沿いの景観が指定されています。

 倉吉市は江戸時代から商工業が盛んで、現在も江戸時代後期から明治初期に建てられた伝統的な町家と土蔵群がたくさん残されています。特に、旧市街地の中心部を流れる玉川沿いには、“赤色の屋根瓦”でふかれた“白壁の土蔵”が連なり、歴史的な雰囲気を醸し出しています。

   週末には多くの観光客で賑わっています

 昭和59年(1984年)倉吉古い町並み保存会が設立され、その後4年間かけて玉川沿いの土蔵22棟の修復工事が行われました。平成8年(1996年)には保存地区の条例が制定され、平成10年(1998年)に「重要伝建地区」に選定されました。

 ところが、平成15年(2003年)に火災が発生し、14棟が全半焼する災難に見舞われました。さらには、平成28年(2016年)には鳥取県中部地震が発生し、指定地区の約3分の2が被災する困難に直面しました。

 しかしながら、倉吉市はすぐさま災害復旧事業に着手し、平成31年(2019年)までに145棟の復旧事業を成し遂げたのです。通称、“白壁土蔵群”と呼ばれるこの指定地区は、倉吉市の観光スポットであり、倉吉市民にとってはかけがえのない宝物なのです。指定地域は「美しい日本の歴史的風土100選」にも選定されていて、かの有名な映画「男はつらいよ」の撮影場所にもなっています。

  この空間は落ち着きます。探してみてください

 さらには昨夏、鳥取市出身の漫画家谷口ジロー原作の『遥かな町へ』の映画が白壁土蔵群周辺を中心的なロケ地として撮影されました。今秋には全国公開される予定です。原作がどのように映画化されたのか、とても楽しみです。

 平成9年(1997年)には、「伝建地区」を活用した「まちの再生」を目的に「倉吉赤瓦」が設立されました。地元商店街の活性化と環境事業の充実に取り組み、中心的な役割を果たしています。賃借できる土蔵を回収整備し、「観・食・買・憩」の4つのもてなしを提供するために「赤瓦の館」を支援しています。

    ここが白壁土蔵群の入り口です

 現在、赤瓦1号館から18号館まであり、魅力的なお店が立ち並んでいます。歴史的な景観の中でガイドマップを見ながら散策し、ショッピングを満喫し、倉吉での良き思い出をつくられてはどうでしょうか。