農家民宿 梨楽庵ブログ

国宝 三徳山投入堂①

風景

 地球規模で見ても、日本は豊かな自然環境に恵まれた国の一つです。そして、全国47都道府県の中でも、最も美しい自然景観に包まれた稀有な場所が鳥取県だと私は誇りに思っています。

 現在、日本の国立公園は31か所が指定されています。国立公園の多くは、日本アルプスに代表されるように、日本各地の名山を核として周辺地域が指定されています。一方、海岸地形や海の美しさに着目し指定された地域は、山岳部に比べると数は少ないのです。

 国立公園を有していない都道府県がある中で、鳥取県は「山陰海岸国立公園」と「大山隠岐国立公園」という、海と山の二つの国立公園が指定されています。山陰海岸国立公園は、鳥取県の東部地域が指定されています。大山隠岐国立公園は、鳥取県の西部と中部地域が指定されています。ということは、県全域に国立公園があるということです。

 今から12年前、それまでは国立公園の指定地域がなかった中部地域に新たに国立公園が追加指定され、大山隠岐国立公園へ編入されました。その地域とは三朝温泉で有名な三朝町にある「三(み)徳山(とくさん)」地域です。指定された日は、2014年3月19日、“ミトクの日”でした。

 “三(み)徳山(とくさん)”という山の名前を知らない方でも、“国宝「投入堂」”と聞けば、ご存知の方が多いのではないでしょうか。実は、三徳山地域は、「日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉」のキャッチフレーズで、「六根(ろっこん)清浄(しょうじょう)と六感(ろっかん)治癒(ちゆ)の地」(注1)として、大山隠岐国立公園よりも先に、日本遺産第1号に認定されているのです。

 令和7年2月5日、「第1回日本遺産アワード」の審査結果が東京都にある日本遺産普及協会により発表されました。日本遺産アワードとは、日本遺産検定に合格した173人の“日本遺産ソムリエ”が投票によって、より魅力的な日本遺産を選出し表彰することで、日本遺産の知名度アップを目的に創設されました。

 審査は、日本遺産104件を対象に、日本遺産ソムリエが「実際に訪れてみて魅力的だと感じた日本遺産」と「これから訪れてみたい魅力的な日本遺産」の2部門に投票し、上位3地域を選出しました。何と、三朝町の「六根(ろっこん)清浄(しょうじょう)と六感(ろっかん)治癒(ちゆ)の地」は、「これから訪れてみたい」部門で第1位に選出されたのです。

 地元紙によると、「三徳山の“日本一危ない国宝”というキャッチフレーズもインパクトが大きく、高評価のコメントが寄せられた」ようです。すでに温泉地として知名度の高い三朝町に、新たな追い風が吹き始めたようです。

 三徳山の「国宝 投入堂」への参拝は3回ほど経験しました。しかし、最後に入山したのは二十年近く前のことです。まだ体力的に余裕があり、“日本一危ない国宝”を拝観する不安感はほとんどありませんでした。

 しかし、現時点の年齢と体力面を冷静に判断すると、数年以内に登らないと、もう二度と登ることができなくなるかもしれません。

 昨年まで、“投入堂”については、まだブログ発信をしていませんでした。書籍やネットから画像を取り込むことは簡単ですが、したくありません。熟慮の末、令和7年6月6日、奥さんと二人で梨楽庵を出発し、三徳山へと向かいました。三徳山登山は危険個所が多く、一人での入山は禁止されています。奥さんも今回が“最後”の思いで同行してくれました。

 梨楽庵から三徳山の駐車場までは、車で約25分で到着しました。余談ですが、梨楽庵は鳥取県の中央部に位置しているので、境港市にある「水木しげるロード」を除くと、鳥取県内の観光名所には1時間以内で到着することができます。

 駐車場を出発し、裏参道を通り、参詣者受付案内所でお札を受け取り、登山参拝事務所で手続きを済ませ、右手に折れると、いざ、入山です。石段を下りるやいなや、樹齢800年と言われる杉のご神木のお出迎えです。見たこともない太い幹回り、空に向かって真っ直ぐに伸びる立ち姿は間違いなく、ご神木です。

樹齢およそ800年のご神木の荘厳さに圧倒されます。ここが確かに神域であることを実感しました

(注1)六根(ろっこん)清浄(しょうじょう)と六感(ろっかん)治癒(ちゆ)

 六根(ろっこん)清浄(しょうじょう)…修験道の山である三徳山を登り、「眼・耳・鼻・舌・身・意」の六根を荘厳な神仏に祈りを捧げることにより、六根を清らかに浄化させるという考え方です。「眼・耳・鼻・舌・身」の五感に、心の働きの思考を表す“意”を加えた六つを六根と呼んでいます。

 六感(ろっかん)治癒(ちゆ)…三朝温泉で湯治をすることで、「観・聴・香・味・触・心」の六感を癒すという意味です。

( 次号へ続きます )