伯耆国羽衣天女伝説
梨楽庵

東郷池は鳥取県のほぼ中央部に位置する湯梨浜町にあります


現在の鳥取県の西側半分は伯耆国(ほうきのくに)と呼ばれていました。そして、伯耆国に含まれた現在の倉吉市と湯梨浜町には“羽衣天女伝説”が伝わっています。鳥取大学名誉教授、野津(のつ)龍(とおる)先生は、この2つの羽衣伝説を学問的に研究され、平成27年(2015)、『伯耆国羽衣天女伝説』を出版されました。

知人から著書を薦められ購入したものの、当時は現職中だったので、積読状態でした。その後、著書は書棚へと移動し、私から忘れ去られようとしていました。ところが、今回、羽衣石城についてブログをまとめるにあたり、羽衣伝説を学び直そうとしたとき、書棚にしまったままの著書を思い出したのです。
驚きました。“労作”という言葉がありますが、野津先生が長い年月をかけて研究された大労作でした。駿河国(静岡県)、近江国(滋賀県)、丹後国(京都府)に伝わる「日本三大羽衣伝説」を分析し、比較検討されながら、伯耆国羽衣伝説は三大伝説と同等の価値があり、“四大羽衣伝説”と呼ぶにふさわしいと力説されました。
先生は、「あとがき」において「この書『伯耆国羽衣天女伝説』を鳥取県民はもとより、日本全国の方々に一人でも多く読んでいただきたく、また、「伯州羽衣伝説」が世界各国の人々に広く知れわたることを祈念」されていました。
学術研究ですから難解な語句も出てきますが、資料編以外のほぼ全てのページにカラー写真が掲載されていて、文字も大きく、学術書ではなく一般書として編集されています。特に、伝説を単なる根拠のない言い伝えや創作とみなすのではなく、伝説の物語の中に隠された意味を解き明かすために、伝説の根拠となる「記念物」との関連性を追究されています。
今回のブログでは野津先生の著書の大まかな紹介になりましたが、先生の著書を手に取り、一読することをお勧めします。次回は伯耆国に伝わる2つの羽衣伝説を先生の著書から転載し、私が現地取材した写真を挿入してお伝えしたいと思います。

