山陰海岸ジオパーク②
風景

日本海の宝石箱「城原(しらわら)海岸」の全景
岩美町は町名の通り、確かに「岩」が「美」しい町なのです。浦富海岸には、海岸線に沿っておよそ4㎞の遊歩道が整備されています。海岸線に沿って県道が走っていて、駐車スペースもあり、県道から遊歩道へとつながっています。
遊歩道はおよそ4㎞あるのですが、一推しは、鴨ケ磯(かもがいそ)から城原(しらわら)海岸へ進むコースです。城原海岸から鴨ケ磯へ進むこともできるのですが、遊歩道の途中にはアップダウンがあり、体力面を考えると、鴨ケ磯から城原海岸へ向かう西から東へ進むコースをお勧めします。

県道の「鴨ケ磯・水尻入口」からつながる遊歩道の階段を下りていくと、「水尻(みずしり)洞門」と呼ばれる名所に到着します。ここが海岸美との最初の出合いの場です。誰もが必ず、手にしたカメラのシャッターを押し始めることでしょう。これから先にどんな景色が待っているのかと、ワクワクしてきます。

水尻(みずしり)洞門付近の景観
遊歩道を東に進むと、美しい砂浜と緑の松に覆われた岩石海岸と穏やかで透き通る海の自然美が目に飛び込んできます。どの角度からカメラのシャッターを切っても絵葉書になる景色が広がっているのです。
足元に気を付けながら遊歩道を進んでいくと、「ロシア軍将兵遺体漂着記念碑」が見えてきました。記念碑建立の石碑には、日露戦争で田後(たじり)沖に漂流していたロシア軍将兵2人の遺体を村民が丁重に葬り供養したと書かれていました。この記念碑は当時の村民の人類愛を顕彰するために、昭和37年(1962年)、岩美町出身の初代国連大使、沢田廉三が建立したそうです。

坂道を登ってさらに進むと、「鴨ヶ磯(かもがいそ)」の砂浜に到着します。ここが浦富海岸随一の景勝地で、海域公園に指定された場所なのです。私は鳥取県に住んでいますので、これまでにも何度か鴨ケ磯には来ていますが、何度見ても美しすぎる景観なのです。
鴨ケ磯の砂浜は主に長石と石英から形成されていて、ガラスを砕いたような透明感があり、この白砂は天然記念物に指定されています。浦富海岸を「日本海の宝石箱」と呼んでいるプロの写真家もおられます。鴨ケ磯は宝石箱の中の最も大切な宝物だと断言できます。

砂浜を進むと遊歩道につながっています

海ってこんなにもきれいだったのかと、驚きます

この浜辺の一帯が「鴨ケ磯」と呼ばれています
今から99年前の昭和2年(1927年)の夏に明治の文豪、島崎藤村が浦富海岸を訪れました。藤村は、鴨ケ磯の東側の波打ち際にある洞門をとても気に入られました。「この洞門は風通しもよく、中で酒を酌み交したらさぞおいしいだろうなあ」と称賛されました。このことがきっかけで、この洞門は「酒宴洞門(しゅえんどうもん)と呼ばれ、藤村ゆかりの地として伝えられています。

奥に見えるのが酒宴洞門(しゅえんどうもん)です

酒宴洞門(しゅえんどうもん)の後ろ側の景色です
酒宴洞門を後にして進んでいると、沖合から観光遊覧船が鴨ケ磯に入ってきました。もちろん遊歩道を散策するのは楽しいのですが、遊覧船からの景色も見応え十分なので、機会を見つけて遊覧船をご利用されることをお勧めします。

酒宴洞門から城原海岸に向かう道はアップダウンがきびしく、夏場は汗だくになるのですが、登り切った所にある展望台からは、鴨ケ磯海岸の全景を眺めることができるのです。絶景かな!絶景!この景色こそが「日本海の宝石箱」なのです。

日本海の宝石箱「鴨ケ磯」の全景
ゴクン、ゴクンと水筒の水を飲み、宝石箱をカメラに収めた後は、海岸沿いの森の中を下って城原海岸を目指します。坂を下りて平坦な道を歩いていると左手の海に現れるのが駱駝島(らくだじま)です。ここからの眺めも抜群です。しばらく進むと城原海岸が眼下に見えてきます。
城原海岸の周辺一帯も海域公園に指定されています。褐色の溶岩が海中に突き出て形成された独特の景観が見られます。花崗岩でできた白色の礫(れき)浜とのコントラストがきれいです。城原海岸は県道の入口から続く階段を下りるとすぐ近くなので、夏には多くの海水浴客で賑わっています。

城原(しらわら)海岸は溶岩地形が見られます

大自然の造形美には圧倒されます

白い礫(れき)浜と褐色の溶岩のコントラストが見事です

ここは絶好のプライベートビーチです
鴨ケ磯から城原海岸へ進むコースを堪能された後は、県道を田後(たじり)方面へ進み、城原展望所ではなく、そこから50mほど田後寄りの場所から城原海岸を眺めて見てください。そこからは、二つ目の「日本海の宝石箱」を遠望することができるのです。

日本海の宝石箱「城原(しらわら)海岸」の全景
浦富海岸の遊歩道を散策する時期は、5月と10月頃が適しています。しかし、真夏の焼けつくような強い日差しが降り注ぐからこそ、日本海もより一層透明感が高まり、ここでしか見られない「岩美ブルー」と呼ばれる海の色を見ることができるのです。
私は汗だく覚悟で、令和5年と6年に、真夏の浦富海岸のブログ取材に出かけました。皆様も是非とも「日本海の宝石箱」との出合いを求めて浦富海岸の散策をお楽しみください。ブログの画像では絶対にお伝えできない風景の宝石を直接現地に出かけて体感されることをお勧めします。
*今年も取材に出かけようと思いましたが、あまりの猛暑のために取りやめにしました。皆様も酷暑が続く夏場はお控えになられた方がよろしいです。
注1…カウンシルとは、審議会の意味です。
