山陰海岸ジオパーク(長尾鼻②)
風景

鳥取市方面から見た長尾鼻(約2㎞)

さて、話を長尾鼻に戻します。山が細長く海に突き出た長尾鼻の地形をつくる岩石は、約160万年前の火山噴火による溶岩です。大噴火によって大量の溶岩流が北に位置する日本海に向かって流れ出し、広大な台地状の地形が形成されました。
長尾鼻の周囲は日本海の荒波に浸食された海食崖(かいしょくがい)が連続し、雄大な絶景が見られます。初めて訪れた人は間違いなくこの景観に圧倒されます。70m以上もの断崖絶壁の場所もあり、福井県の東尋坊を訪れた人なら、きっと「長尾鼻は鳥取の東尋坊かも」と思われるに違いありません。

日本海の荒波に削られた断崖絶壁の岩石海岸です

ここに来ると、大自然の迫力に圧倒されます

こんなに透き通った海の水は初めて見ました
長尾鼻の岬一帯は豊富な魚種に恵まれていて釣り人の憧れの名所として有名です。なので、釣り人はアクセスに悩むことはないのですが、絶景のみの見学者にとっては道順が分かりにくいことが難点ですので、少し説明します。

日本海沿いの国道9号線を鳥取市青谷町から鳥取市に向かって走っていると、坂道を登り切った左手に「西因幡県立自然公園」の入り口の標柱が見えてきます。鳥取市方面から来た人は右手に標柱が見えます。
国道から岬へとつながる一本道を走っていると、途中で分かれ道があります。左側の道を進んでしばらくすると空き地があり、そこが長尾鼻の有料駐車場となっています。国道からは3分程度で到着します。
釣り人は有料ですが、写真撮影だけなら無料です。ただし、気を付けなければならないことが二つあります。一つ目は、農道は道幅が狭くて普通車の場合は対向車が来たときはすれ違いがとても困難です。
安全面を考慮すれば、軽トラックか軽自動車がお勧めです。二つ目は、長尾鼻は断崖絶壁の場所なので一人で行くのは大変危険です。観光ボランティアの方などに依頼されるのが安心安全です。
長尾鼻駐車場からはすぐ近くに長尾鼻灯台が見えます。案内板には次のように説明されていました。
「因幡国鳥取県のほぼ中央部に位置する長尾鼻は、その断崖の上から東に鳥取砂丘、西に伯耆富士大山の雄姿、そして日本海に浮かぶ隠岐ノ島を通して“地球の丸さ”を感じさせる水平線が一望できる素晴らしい場所として知られています。

大海原に目を向けると、地球が丸いことがわかります

西に目を向けると、伯耆富士「大山」が見えます
灯台は昭和28年(1953)3月31日に海上保安庁により設置点灯され、その当時は職員が家族と共にここに居住して灯台を保守していましたが、昭和43年(1968)の無人化、平成2年(1990)の大幅な改修工事による機器の自動化等に伴い、現在は無線による監視と職員による定期的な巡回により維持管理されています」
灯台守(とうだいもり)という言葉がありますが、昭和の時代までは全国各地の灯台は、海の安全を守る人たちの職場であり生活の場となっていたのです。案内板には光の届く距離が書かれていました。驚くことに、約39.8㎞も届くそうです。真夜中に操業する漁師さんたちにとっては灯台の光こそが命綱だったに違いありません。

長尾鼻灯台です。昔は灯台守が生活していました
鳥取県の東部地区を観光される方は、鳥取砂丘や砂の美術館を第一目的とし、浦富海岸へも足を運ばれる方もおられるでしょう。しかし、ジオパークに指定されているとしても長尾鼻を目的地とされる方は釣り人以外にはおられないと思います。
私自身がそうでした。長尾鼻という地名は知っていながら、太公望ではないので長い間訪れたことのない場所でした。しかし、30数年前に初めて訪れた時、長尾鼻の断崖絶壁の景観に圧倒されたのです。その後も数回訪れましたが、一昨年、ブログ取材のために愛車の軽トラを走らせました。
長尾鼻には灯台があります。“灯台下暗し”ということわざがありますが、年齢を重ねるごとに、なぜかこの言葉が胸に響いてきます。私たちの目はなぜか遠くにあるものにばかり目が行ってしまい、身近な所に宝物があるにも関わらず、気が付かないままなのです。長尾鼻のブログ取材を通して、これからも身近な宝物を探していこうと決意を新たにしました。
