農家民宿 梨楽庵ブログ

二十世紀梨の収穫②

梨楽庵

 近年、あらゆる分野で過去に起きたことのない事態が発生すると、“想定外”の言葉が使われるようになりました。昨年の想定外は4月の毛虫の大発生でした。春先に発生する毛虫の防除対策として、例年通りの農薬散布を行ったのですが、散布後も明らかに毛虫が目視できるのです。「いつもと違って今年は何か毛虫が多いなあ」と、感じてはいたのですが……。

 想定外の事態に気づいたのは、無事に交配が終わって梨の実の赤ちゃんが成長し始めた頃でした。果樹園内のあちこちの親指大の梨の実を毛虫がかじっているのです。梨の実の赤ちゃんは一つの花芽から10数個実ります。そのうちの1個だけ選んで小袋をかけて育てるのですが、場所によってはほとんどの実がかじられていたのです。

 毛虫の大発生の原因は何だろうと熟慮してみました。私見ですが、冬場の降雪量の減少と気温の高さが影響しているように思います。昨年は1月にも2月にも大雪の日はあったのですが、一度きりで数日で解けてしまいました。

 大雪による日常生活の不便さが早めに解消するのはいいのですが、降雪量の少なさが毛虫等の害虫の生育環境を良くしているのかもしれません。さらには1月から3月にかけての冬期と早春の気温上昇も害虫にとっては好都合な環境なのかもしれません。

 近年、地球温暖化が世界中で異常気象をもたらしています。数年前までは何とか持ちこたえていましたが、我欲を追求する人間の理不尽な振る舞いに対して、地球の堪忍袋の緒が切れてしまったのかもしれません。

 カラスの行動異変や毛虫の大発生も、冬期の降雪不足やドカ雪も、夏期の長期化と酷暑日続きも、地球温暖化が限界値を超え始めたからなのかもしれません。特に夏は連日猛暑です。このような酷暑が続くと、今後も梨栽培農家にとっては、困難な状況が発生するのではないかと心配です。

 梨の木に「大丈夫ですか?」と問いかけても、黙して語りませんが、この酷暑で年々体力を消耗しているのかもしれません。人間は屋内ならエアコンで、屋外ならミストシャワー等で対応できますが、果樹園には取り付けできません。

 二十世紀梨の最大の強みは“酸味と甘味のバランスの良さ”です。この特性は、通常の秋ならば、朝晩の冷え込みが始まる9月上旬頃から発揮されます。私の感覚では最低気温が22℃以下にならないと美味しい梨は生まれないように感じています。梨づくりの最後の決め手は、やはり自然の力なのです。

 大玉の梨は大袋を破ってしまいます。5Lの大きさです

 収量減がありながらも、何とか進物用の梨を準備することができました。遅くとも来週中には親戚、友人、知人の方たちにお届けすることができそうです。喜んでいだだけると大変うれしいです。

 今はほっと一息ついていますが、来年度以降も、梨づくりに立ちはだかる外敵に対してどんな対策を取ればいいのか、夏休みの宿題が未解決のまま残ってしまった中学生の心境です。