農家民宿 梨楽庵ブログ

ジャム3姉妹誕生物語②

風景

 実は、開業当初は、お客様が到着されると、地元の中学校と高等学校で茶道部の指導を受け持っている妻が点てた抹茶と「梨ようかん」で、おもてなしをしていました。梨ようかんは、梨栽培で家族を支えた母が生前に食べさせてくれた逸品です。

 梨の果汁を長時間煮込むと、独特な甘みの梨飴ができます。これを隠し味として小豆餡に含ませると、まろやかな口当たりの梨ようかんが出来上がるのです。梨ようかんの出来具合は、梨飴の出来と小豆餡の出来とその配合の仕方で微妙に変わってきます。妻は母から手ほどきを受け、ほぼ同等の味を受け継いでいます。

 しかし、梨ようかんづくりは手間暇がかかり過ぎます。そこで、ひらめいたのが梨ジャムづくりです。梨の品種の中では、二十世紀梨は賞味期限が長いのですが、長期保存はできません。しかし、ジャムに加工して冷蔵庫で保存すると、半年間は賞味できます。

 梨ジャムづくりを決意してから、すでに市販されている梨ジャムを何種類か買って食べてみましたが、二人が納得する食感ではありません。保存料が含まれているからかもしれません。

 妻の試行錯誤が始まり、ようやく二人が納得できる梨ジャムが完成したので、いちじくジャムとゆずジャムも一緒に姉に依頼したシールを貼って販売を始めました。

 3種類のジャムは、女性的なイメージがするので、“ジャム3姉妹”と名づけました。性の多様性が問われる時代なので、批判的なご意見をお持ちの方もあるかもしれませんが、「人」ではなく「ジャム」なので、ご理解ください。

 さて、販売を始めたものの、「本当に買って下さる方がいるのだろうか。もしかしたら、売れないのでお店から引き取りの連絡が入るのではないだろうか」と不安感ばかりが募る日々でした。

 ところが、少しずつ少しずつでしたが、お買い求めになるお客様がいらしたのです。梨楽園で収穫した果実を販売するのではなく、自家製の加工食品を一般の店舗に納品し、それを買っていただける喜びを味わうことができた人生で初めての販売体験でした。

 ( 次号へ続きます )