農家民宿 梨楽庵ブログ

ガッカリ、ビックリ、そして、ゆっくり

梨楽庵

 今年の3月から湯梨浜町内の2店舗で梨ジャム、いちじくジャム、ゆずジャムの販売を始めました。きっかけは、妻が手作りジャムを友人知人にプレゼントすると、ほぼ間違いなく、「おいしかったです。」「売られたらどうですか。」「ネット販売もできますよ。」等々、うれしい反応が返ってきたからです。

 躊躇している妻を説得し、シール原案を姉に依頼し、成分表示表も完成し、準備完了。収穫順に、梨ジャムを長女、いちじくジャムを次女、ゆずジャムを三女に見立て、「ジャム3姉妹」とネーミングして、ポップをつくり販売を開始しました。

 両店舗ともスタート段階ではなかなか売れなかったものの、5月の大型連休の頃からは1日に1個か2個ですが、少しずつ売れるようになりました。商品を定期的に販売するのは人生で初めてのことです。1個でも売れると体の奥底からうれしさがこみ上げてくるのです。6月下旬で在庫がなくなり、販売を休止しました。9月になり、梨といちじくの収穫ができるようになったので、9月9日から意気揚々とジャムの販売を再開しました。

 ところが、一週間経っても全く売れないのです。9月7日にホームページを立ち上げ、アピールもしていたのに……。悩んでいたある日、電話がかかってきました。「クラチョウ(私のあだ名)さん、ホームページ見たよ。すごいね。大学時代の同級生にもラインしといたよ。いつか梨楽庵へ行きたいなあ、と言ってたよ。がんばってよ。」岡山県の友人の声のおかげで、落ち込んでいた私の心に光りが差し込んで来ました。

 9月20日午前11時過ぎ、「道の駅はわい」のお店の方から電話がかかってきました。「昨日納品していただきましたが、残りが3個になっています。商品があれば、持って来てください。」「ほっ、ほっ、本当ですか!ありがとうございます。」

 急いで準備し、昼前にお店に駆け込むと、「先ほど3個買われたので、完売ですよ。」女性の店員さんが笑顔で声をかけてくださいました。「え!本当ですか!」ポップの下を見ると、商品棚の上には何もない空間だけが漂っていました。数日前、「なかなか売れませんね。」と弱音を吐くと、「すぐにはなかなかですよ。ゆっくりです。」と別の店員さんが声をかけて下さったことを思い出しました。

 そうなんだ。焦ってはいけないんだ。ゆっくり、ゆっくり。第二の人生なんだから、ゆっくり、ゆっくり。新たなことに挑戦し始めたことで、新鮮な感情と出会うことができたのです。