農家民宿 梨楽庵ブログ

湯梨浜町は絶景の宝庫

風景

   潮風の丘から見た冠雪の大山の眺望

      泊漁港から見た大山の眺望

 潮風の丘でグラウンド・ゴルフを楽しむ人たち

     潮風の丘の雪景色

    島根半島に沈む夕日の絶景

     出雲山から見た大山の眺望

   出雲山から見たハワイ温泉街の眺望

       東郷池と日本海の眺望

   大山を眺めながら羽を休める冬鳥たち

     晴れた日の冬の一里浜

    一里浜(梨楽庵の裏の浜)の雪景色

  一里浜(梨楽庵から徒歩約1分)の夕日の景色

 あれは私が30歳代の半ばの頃だったでしょうか。同僚の先輩の女先生から「旅をするなら若いうちですよ。歳をとるとおっくうになるから」「ああ、そうですか。そんなものですか」と、聞き流していましたが、なぜかその言葉が心にひっかかっていました。ところが、50歳代になり女先生と同じ年齢になった頃、言葉の意味が実感としてわかるようになったのです。

 中学1年生の時に社会科が大好きになり、社会科の教師をめざして大学に進学し、紆余曲折がありながらも、中学校の社会科教師に採用されてからは、暇を見つけては授業づくりの情報収集を兼ねて全国各地を回り、チャンスがあれば、海外に出かけたこともありました。

 定年退職を機に、プラハやベルリンの都市名や世界遺産に惹かれ、東欧諸国を旅しましたが、若い頃に感じたワクワク感よりも疲労感を感じている自分に気がつき、愕然としたのです。今では、飛行機で12時間以上もかけてヨーロッパやアメリカや南半球の国へ出かける体力が、いや、気力がなくなってきたように感じます。情けないことですが…。

 でも、もう一度出かけることができるなら、まだ訪れたことがないところもいいのですが、過去に訪れた絶景をもう一度見たいと思います。場所は、3カ所。一番は、スイスのアルプスの氷河の絶景。二番は、ニュージーランドのフィヨルドの絶景。三番は、ナイアガラの滝の絶景。いずれの場所も気力と体力が充実した時でないと旅することはできませんが、願わくば、もう一度、あの空間に身を置いてみたいと夢想することがあるのです。

 若いときは、県外の絶景や海外の絶景に強烈な憧れを抱いたのですが、10時間以上も飛行機に乗ったり、何時間もかけて車や汽車に乗り、ひとときの間だけ手に入れる絶景よりも、すぐ身近にある絶景に心を動かされることが多くなりました。

 その絶景とは湯梨浜町内の絶景のことです。よくよく考え町内を見渡してみると、自然環境に恵まれた鳥取県の中でも、町内全域は、より一層恵まれた自然環境に取り囲まれています。雄大な日本海を臨むことができる海岸には、溶岩地形が見られる場所が点在しています。歩くとキュキュと音が鳴る、鳴り砂の砂浜も広がっています。

 周囲が約12㎞の適度な広さの東郷池は、周囲の小高い丘や山頂から見降ろすことができます。伯耆富士大山や日本海を遠望することができる馬の山、出雲山、鉢伏山からの眺めは格別です。馬の山や潮風の丘からは、海と平地と山並みの雄大な広がりを感じることができるのです。

 灯台もと暗し、のことわざのとおりです。これらの風景は身近にありすぎて、いつでも手に取ることができるので、私たちはあまり価値のないものだと勝手な解釈をしているのかもしれません。私は専門の旅行作家やジャーナリストのように日本中や世界中を回ったことはありません。しかし、数少ない体験から判断する私見ですが、湯梨浜町内には県外の人や外国の方から見ると驚くに値する自然の宝物がコンパクトに詰まっていると、ずっと前から私は確信していたのです。

 幸運なことに、2月10日付の日本海新聞を読んでいると、私の確信を後押しして、勇気づける記事を目にしたのです。全文を転載します。

「鳥取県は9日、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本を手がけた脚本家で映画監督の足立紳さん(51)=倉吉市出身=を県フィルムコミッショナーに任命した。映画やドラマのロケーション撮影の誘致促進や撮影を円滑に進めるための助言を担う。同日、東京都内で任命式が開かれた。平井伸治知事は「鳥取は撮影に適した所だと思いますし、人情味あふれる社会も温存されている。アドバイスや(ロケ地選定の)声かけをいただき、共に映像文化を盛り上げていきたい」と期待した。

 足立さんは、「まずはこれを機に自分の作品を鳥取で撮りたい。旧泊村(現湯梨浜町)の風景がすごく好きで、そこに生きている人を映すだけでもいい物が作れると思っている。鳥取が大好きなので少しでも力になれたら」と意欲を示した。(西山恭平記者の記事です)

 読み終えるやいなや、体の内部から爆発的な喜びがわき上がってきたのです。朝ドラ「ブギウギ」は視聴率がほぼ毎週、第1位で、国民的な人気番組になっています。そのドラマの脚本を手がけた足立紳さんは、今、最も注目を浴びている脚本家の一人です。その足立さんが、「旧泊村の風景がすごく好き」と絶賛されたのです。鳥取が大好きな足立さんが一推しの撮影場所として挙げたのは、鳥取砂丘でも大山でもなく、旧泊村だったのです。

 51歳の足立さんは、年齢から判断すると、仕事に関して今、最も脂がのった時期を迎えておられるはずです。そのプロ中のプロの脚本家兼映画監督の美意識と感性で選んだ場所が梨楽庵のある私の故郷だったのです。足立さんは、旧泊村のどの場所を思い描かれているのでしょうか。心がズキズキ、ワクワクしてきます。おそらくは、私が個人的に鳥取県の絶景ベスト4に入ると決めている「潮風の丘」とそこから眺めた風景ではないかと想像しています。さあ、一体全体、その場所とはどこなのでしょう。あっ痛い!また心がズキズキ、ワクワクしてきました。