春が来た
風景
梨楽園の桜が満開に近づいています
花の蜜が大好きなメジロがやってきました
極楽寺(倉吉市)のしだれ桜は鳥取県内随一です
樹齢約140年、桜の花びらが境内に降り注いでいます
久松山(鳥取市)の麓の鳥取城跡は桜の名所です
城跡を上ると桜の雲海を眺めることができます
梨楽園でワラビと原木しいたけが収穫できました
冬が大好きな人もいると思いますが、多くの人は冬の寒さから逃れることを願い、一日でも早く春がやって来るのを楽しみにしています。だからこそ、春を待ち望む気持ちを歌った名曲がたくさん生まれてきたのでしょう。春を歌った私が好きな名曲は、「どこかで春が」や「春の小川」などいくつかありますが、中でもお気に入りが「春が来た」です。
春が来た 春が来た どこに来た
山に来た 里に来た 野にも来た
花がさく 花がさく どこにさく
山にさく 里にさく 野にもさく
鳥がなく 鳥がなく どこでなく
山でなく 里でなく 野でもなく
この曲は、1910年(明治43年)に『尋常小学読本唱歌』(上)で発表された文部省唱歌です。作詞は高野辰之、作曲は岡野貞一です。2007年、日本の歌百選にも選出されている名曲中の名曲です。ちなみに、岡野貞一さんは、鳥取市の出身で、東京音楽学校の教授だったことから、文部省唱歌の編さん委員としてたくさんの唱歌の作成に関わった偉大な方です。「桃太郎」「紅葉」「春の小川」そして、あの名曲、うさぎ追いしかの山で始まる「故郷」の作曲家です。
「春が来た」は短い歌詞ですが、山から里に、そして里から野に、日が経つにつれて広がりを持ちながら春が訪れていることを「山」「里」「野」の一文字だけで見事に表現しています。時間的な広がりと空間的な広がりを小学生にもわかる言葉を使って巧みに創作しているのです。さらには、春が来た喜びを地面に咲く花と、大空を四方八方へ舞っている鳥の動きで表現しているのです。鳥たちの歓喜の歌声と躍動感あふれる羽ばたきが、空間的な広がりをより一層広げているのです。
私が子どものころには、歌詞にこのような思いが込められていることには全く気がつきませんでした。還暦を飛び越える歳になってようやく気がついたのです。曲調も春が来た喜びが伝わる軽快なリズムなので、一度聞いたら忘れられない音色です。作曲されたのは100年以上前なのに、新鮮さは全く変わりません。驚きです。
南北に長い日本列島ですから、春が来た喜びを実感するには時間差が生じます。春になるといろいろな花が咲きますが、本格的な春の訪れを最初に告げる花は、言うまでもなく桜です。ニュースを見ると、この週末の観光地は多くの花見客で賑わっています。これから桜前線が南から北へと北上するにつれて、日本に住む人々の歓喜のバトンが渡されていくのです。ついに、「春が来た」のです。