ほっぺ焼き
風景
このお菓子をみなさんの地域では何と呼んでいますか?
鳥取駅前の丸由百貨店では「ほっぺ焼き」で販売しています
ほっぺ焼きの「あずき」を鳥取民芸の山根窯のお皿にのせました
ほっぺ焼きの「白あん」です。人気の中井窯のお皿にのせました
カスタード味は私のお気に入りです。皮との組み合わせが抜群です
豆乳も人気商品です。上神(かずわ)焼、上神山(かずわさん)窯のお皿にのせています
週5日販売の「抹茶」味も人気です。国造(こくぞう)焼のお皿にのせています
期間限定の「いちごカスタード」味です。ひおき窯のお皿にのせています
ほっぺ焼きは、抹茶でいただくと、より美味しく感じます
「ほっぺ焼きって知っていますか」と問われて、即答できる人は何名おられるでしょうか。さらに「ほっぺ焼きって食べたことがありますか」と問われたら、質問の意味さえわからなくなり、問われた方は頭の中が混乱してしまうのではないでしょうか。
ほっぺ焼きは、鳥取駅前の丸由百貨店(旧鳥取大丸百貨店)のデパ地下で販売されている超人気商品です。鳥取市内在住の方は、間違いなく一度は食べたことがあるのではないでしょうか。鳥取市出身で県外にお住いの方にとっては、鳥取銘菓『因幡の白うさぎ』に匹敵する、ふるさとを思い出させるソウルフードなのです。
ほっぺ焼きは一般的には「今川焼き」と呼ばれています。しかし、調べて見ると、今川焼は、江戸時代に江戸の神田今川橋付近の店で売り出されたことからこの呼び名がついたそうです。
ところが、今川焼は日本全国に広まる中で、「大判焼き」「回転焼き」「おやき」などの名称でも呼ばれるようになり、現在も庶民に親しまれる人気商品となっています。ネットで調べてみると、今川焼きの名称が49%、大判焼きの名称が30%、回転焼きの名称が16%で、その他は4%との調査結果を報告されている方がおられます。
今川焼きの名称は関東から東北・北海道で使用割合が高く、大判焼きは中国地方と四国地方で高く、九州地方は回転焼きの使用割合が高くなっているようです。何と大分県では100%、回転焼きと呼ばれているそうです。今川焼き、大判焼き、回転焼きが主流ですが、全国には100近くの名称が存在するそうです。
前置きが長くなりましたが、ほっぺ焼きはその他の4%に含まれる希少な名称です。私は和菓子や洋菓子を品評する専門家ではありませんが、銘菓と呼ばれる商品は3つの条件を兼ね備えていると考えています。
一つは、「菓名」と呼ばれるネーミングのよさです。ほっぺ焼きの由来について店員さんに尋ねると「ほっぺたが落ちるほど美味しいということだと思いますよ」と即答されました。なるほど!合点です。
現在の丸由百貨店のデパ地下の食品売り場の名称は「しゃんしゃんマルシェ」です。「しゃんしゃん」とは、鳥取市の夏祭り「鳥取しゃんしゃん祭」の傘踊りの鈴の音の「しゃんしゃん」と「市街地の温泉で湯がしゃんしゃん湧く」という意味が由来です。
「しゃんしゃん」という言葉の響きは、賑やかさが湧き上がるようなイメージがあり、鳥取駅前に笑顔をあふれさせ、賑やかにさせたいという丸由百貨店の社是と一致し、新名称が決定しました。「マルシェ」はフランス語で「市場」の意味なので、しゃんしゃんマルシェとは、鳥取市民の憩いの市場という意味が込められています。
丸由百貨店の前身、鳥取大丸百貨店の時の名称は、「ほっぺタウン」でした。多くの美味しい食品が集まっているので、どれを食べても「ほっぺが落ちるほど美味しいよ」という意味で名付けられたようです。
昭和50年(1975年)、今からちょうど50年前のことです。市街地再開発事業に併せて、ホテルニューオータニ鳥取と共に、巨費を投じて鳥取駅前に山陰地方最大の百貨店が誕生したのです。大都市から遠距離にある鳥取市民にとっては、待ちに待った出来事でした。地下1階の食品売り場「ほっぺタウン」は鳥取市民が憧れる夢広場だったのです。
ほっぺ焼きの売り場は、ほっぺタウンの真ん中にあります。旧鳥取大丸が最も力を入れた売り場だったに違いありません。ほっぺ焼きの発案者は、鳥取の銘菓中の銘菓「因幡の白うさぎ」を生み出した(株)寿製菓です。今川焼でも、大判焼きでも、回転焼きでもなく、「ほっぺ焼き」と命名した発想に感服いたします。
銘菓の第2の条件は、菓子が生み出す品格です。通常の大判焼き(注1)とはやや小ぶりですが、子供たちにも食べやすい大きさです。目の前で次々と焼き上げられるほっぺ焼きからは、美味しさが漂っているように感じられます。
銘菓の第3条件は、もちろん、味です。大判焼きは、粒あんと白あんの2種類が一般的です。ところが、ほっぺ焼きは、「あずき、豆乳、カスタード、白あん」の4種類が毎日販売され、「抹茶」が週5日の販売です。さらには、期間限定で新商品も提供されています。人により好みはあると思いますが、どれを食べてもおいしいのです。
先日お店に立ち寄ると、何と、ほっぺ焼き「焼印」サービス開始の案内が出されていました。「祝 還暦」「祝 古希」…「祝 百寿」「感謝」など、大好きなおじいちゃんやおばあちゃんへ、あるいはお世話になっている方へのプレゼントとして、ほっぺ焼きを「特別なおやつ」として販売するそうです。(株)寿製菓さんの商品開発力は実に見事です。
ブログを読んでくださった方は、今度鳥取にお越しになった時は是非とも丸由百貨店のデパ地下に足をお運びください。梨楽庵をご利用になられる方で、ご注文をいただきましたら、私が事前にお取り寄せいたします。熱々ではありませんが、ご容赦ください。梨楽庵のレンジで、チン!いたします。
*(注1)私が住んでいる鳥取県中部地区では、「大判焼き」と呼んでいます
*鉄の文化にはまり込んでいましたので、ひと休憩して、鳥取の食文化の話題をお伝えしました
ブログを読んでくださっている方は、今すぐ鳥取に飛んで行きたくなったのではないでしょうか。お待ちしています
実に手際よく、次々に焼きあがっています。一度に44個焼くことのできる鉄板が2つあります。週末には行列ができています