農家民宿 梨楽庵ブログ

蒜山大山スカイライン

風景

 日本百名山を筆頭に、日本百景、平成の名水百選、平成にっぽん観光地百選など、日本人は様々な分野で100を基準に選定し、自分の興味関心にフィットした百選を達成目標とし、仕事以外の趣味の分野に生き甲斐を見出すことに喜びを感じる傾向が強い国民のように感じています。

 人生100年時代を迎えましたが、人が一生の間に訪れることのできる場所も必要な時間も、人生の後半戦に入ってみると、限られていることに、ある日突然、はたと気づき、呆然としてしまいました。20代の頃までは、人生時間は永遠に続くように思っていたのですが、…錯覚していただけでした。

 人生時間が限られたものであることに気づくまでの前半戦、私の趣味の一つは旅行でした。何らかの百選へ挑戦することはしませんでしたが、長期休暇や大型連休を利用して妻と主に国内旅行に出かけていました。

 長い間中学校で社会科の教師をしていたこともあり、教科書や諸資料だけで教えるのではなく、直接現地に足を運んで体感したことをもとに授業を組み立てると、生徒にとってより分かりやすいのではないかと考えていたからです。

 百選の目標は立てませんでしたが、40代までには47都道府県に足を踏み入れたい!という願望を心の奥底に持ち続けていました。しかし、現役の頃は休日も祝祭日も部活指導で多忙を極め、目標達成は50代になってからでした。

 今振り返ってみると、旅の思い出が次々と思い出されます。特に、マイカーやレンタカーを利用した長距離ドライブが強く心に残っています。東北地方では“八幡平アスピーテライン”、中部地方では“乗鞍スカイライン”、近畿地方では“嵐山高雄パークウェイ”、九州地方では“やまなみハイウェイ”が特に印象深いです。これらは、いずれも日本百名道の一つです。

 私のイチ推しは、“蒜山(ひるぜん)大山スカイライン”です。やはり、日本百名道の一つです。このスカイラインは、岡山県の蒜山高原と鳥取県の桝水(ますみず)高原を結ぶルートです。

 蒜山大山スカイラインに観光客が押し寄せるのは、新緑と紅葉のシーズンです。観光客の一番の目的は、前回のブログで紹介した“鍵掛峠から見る奥大山の絶景”を一目見たいからです。

 鍵掛峠にある駐車場は狭いため、新緑と紅葉のピーク時の週末には路上に長い行列ができます。しばらく待ったとしても駐車場に車を乗り入れることは困難ですから、安全な場所に車を置き、鍵掛峠までは歩いていくのが良いと思います。徒歩でわずか数分ほどの距離ですから。

 鍵掛峠がイチ推しの絶景ポイントですが、蒜山大山スカイラインには見所がたくさんあります。県外客の多くは、中国地方や四国地方、関西方面からやって来られます。

 中国自動車道の蒜山ICを下りて右折すると、道の駅「風の家」があります。地域の農家が栽培した新鮮な農産物が販売されていて、週末には多くの観光客でごった返しています。

 この道の駅を抜けて、大山方面に向けて2分ほど走っていると、“ヒルゼン高原センター”に到着します。大観覧車や様々なアトラクションがあり、大自然の中の遊園地として若いファミリーに大人気です。

 西の軽井沢と呼ばれる“蒜山高原”周辺は、大山隠岐国立公園の指定地域に含まれ、観光スポットが点在しています。高原の北側には蒜山三座と呼ばれる“上(かみ)蒜山”“中(なか)蒜山”“下(しも)蒜山”の3つの山が連なり、人気の登山ルートです。このエリアだけでも一日ゆっくりと過ごすことができます。

 ヒルゼン高原センターに沿った道を北に向かって走っていると、蒜山大山スカイラインの入り口に到着します。このスカイラインを通り大山寺に向かう道路沿いには観光客の心を引きつける魅力的な自然景観や観光施設が目白押しです。

西日本最大規模の“ブナ林”の中のドライブコースです

 ゆっくりと家族や友人たちと休暇を過ごすにはお薦めの場所です。東京―富士山―京都―大阪という、いわゆる観光のゴールデンコースに満足しなくなった訪日観光客にとっては、蒜山・大山スカイラインは「何度でも訪れたい日本のドライブコース」として脚光を浴びる日が必ず来ると私は確信しています。

 岡山県側から入った場合の蒜山大山スカイラインの出発地点は紹介しましたが、鳥取県側の到着地点で出合う“桝水(ますみず)高原”の景観は掲載していません。鍵掛峠で見た大山が、どんな姿で皆様をお迎えしてくれるのか…、どうぞお楽しみください。

初めての人は素通りしてしまいますが、ここ“一の沢”も絶景ポイントの一つです

     鍵掛峠は江府町にあります

〈 追記 〉

 まだ一度も蒜山大山スカイラインを通ったことがない方が全国にはたくさんおられると思います。多くの画像で紹介すると、初めての場所に出合う喜びを奪ってしまいますので、最小限の観光スポット紹介にしました。

 今の時代、旅行に出かける前にネット等で多くの情報を得ることができますが、事前学習が過ぎると現地でのワクワク感が減少しますので、私は“旅の予習”は、ほどほどにするようにしています。