農家民宿 梨楽庵ブログ

スタミナ納豆

風景

 人により好き嫌いがはっきりしている食べ物の一つが納豆だと言われています。納豆文化のある関東地方や東北地方ならともかく、幼少期から納豆を食べ慣れていない鳥取県の子どもたちにとっては、納豆を学校給食のメニューに加えても、箸は進まないのです。

 納豆は栄養価が高く、健康食品であることは周知の事実です。納豆には五大栄養素の、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれています。食物繊維も豊富なので、腸内環境の改善に効果があり、免疫力がアップし、健康や美容にも好影響を与えています。

 育ち盛りの小中学生に納豆を食わず嫌いになるのではなく、何とか子どもたちに納豆の良さを知ってもらいたい、その強い思いから鳥取県の中部地区の栄養士さんが開発されたのが、“スタミナ納豆”です。

 倉吉市のホームページには次のように紹介されています。「スタミナ納豆は、30年余り前に学校給食のメニューとして登場し、メディアで取り上げられたことにより全国的に有名になりました。

 学校給食に携わる栄養士が、納豆が苦手な子どもたちでもおいしく食べられるようにと考案したメニューですが、今や大人気の定番メニューになっています。隠し味のタバスコの辛味が食欲をそそります。」

 鳥取県の東部・中部・西部の3地区の小中学校で長年勤務していた私は、鳥取市内の給食も米子市内の給食も食べてきましたが、スタミナ納豆に出合ったことはありませんでした。スタミナ納豆との出合いは、地元の中部地区の中学校で勤務するようになってからでした。

 ご飯にのせて一緒に食べるとなんとも言えないおいしさです。時々は市販の納豆を家庭で食べることはあるのですが、スタミナ納豆は食感もおいしさも全く異なります。スタミナ納豆だけでも、もっともっと食べたくなるのです。

   梨楽庵限定「スタミナ納豆かけ白ご飯」

 私自身がスタミナ納豆の虜(とりこ)になってしまいました。知り合いの栄養士の方からレシピをいただき、妻に作ってもらいました。給食で食べた味とは微妙に違いますが、おいしさは抜群です。

 梨楽庵では朝食のメニューには、必ず“スタミナ納豆”をお出ししています。昨秋、大学時代の友人が浜松市からご夫婦で梨楽庵に来てくれました。苦手な食材の確認をすると、友人は「納豆だけはちょっと無理だなあ…。50年前から一切口にしていないんだよなあ…」という返事でした。

 無理強いはいけませんが、「だまされたと思うかもしれないけど、一口だけでも試してみてよ」と一押ししてみました。食後に、「スタミナ納豆、食べてみた?どうだった?」と尋ねると、「納豆は絶対ダメと思っていたけど、50年ぶりに食べたよ。意外においしかったよ」と嬉しい感想をもらうことができました。

 4月10日、1泊2日で島根県から男性4名のお客様をお迎えしました。予約をいただいたグループリーダーの方は、私が中学校で野球部の監督をしていたときに大会でお世話になった方でした。一緒に過ごした時間はごく短時間でしたが、ご縁をいただき予約を入れて下さったのです。

 朝食に定番のスタミナ納豆をお出しして説明すると、三重県桑名市出身のお客様が、「ごめんなさい。納豆だけは、ダメなんです。50年ほど前から、全く口にしていません。あの独特のにおいが…。出張先のホテルの朝食で、隣の人が納豆をかき混ぜ始めると、失礼は承知の上で、席を変わるくらいなんです」

 友人の時と同じ対応をして、食後に感想を尋ねると、「いやー、50年ぶりです。食べてみました。納豆独特のいやな臭いもなく、割と美味しかったですよ」友人と同じ反応を得ることができたので、とてもうれしかったです。

 スタミナ納豆の食材は、スーパーで購入できる“ひきわり納豆”です。このひきわり納豆に他の食材と調味料を加えて作ります。妻は栄養士さんからいただいたレシピに工夫を加え、オリジナルのスタミナ納豆を完成させました。

 修学旅行生の中にも納豆が苦手な子がいますが、「一口だけでも挑戦してみてはどうですか?」と勧めています。先週末に受け入れた生徒の中にも大の納豆嫌いの子がいました。他の子は初挑戦していましたが、その子は全く手を出そうとはしませんでした。

  「スタミナ納豆、どう?」「うん、美味しいよ」「○○ちゃん、どう?」「うん、おいしい」そんな会話が交わされたので、納豆嫌いの彼女の心が動いたのか、隣の友達に納豆をよそってもらい口にしたのです。「どうですか?」と感想を求めようと思いましたが、なぜか躊躇してしまいました。彼女の反応は、ただ無言でした。

 一泊二日の日程が無事に終了し、体育館でお別れ会を終えると、最後のお礼のあいさつのために彼女たちは私の側に寄ってきました。順番が最後に回ってきた納豆嫌いの子が、しっかりと私を見つめながら、一言、「納豆、克服したよ!美味しかったです」と言ってくれたのです。

 今回、改めてスタミナ納豆の偉大なる力を実感しました。納豆との最初の出会いがかみ合わなかったのか、長年、納豆を敬遠し続けてきた人たちの認識を180度変えてしまう不思議な魅力、いや、魔力をスタミナ納豆は持ち合わせているのです。

 私はスタミナ納豆が時々無性に食べたくなるときがあります。そんな時には、妻にリクエストしています。スタミナ納豆を一度も食べたことがない方は、是非とも、梨楽庵でお試しください。納豆のように粘り強く、心よりお越しをお待ちしています。

〈 追記 〉スタミナ納豆のレシピは、ネットで公開されています。