農家民宿 梨楽庵ブログ

大山賛歌

風景

  中国地方最高峰の大山は鳥取県の独立峰です

 6月も中旬を迎えました。梨楽庵のある中国地方は6月5日に梅雨入りしましたが、空梅雨なのか晴れの日が続いています。しかし、朝晩の気温差が激しく、一年の中でも最も体調を崩しやすいのがこの時期です。梅雨明けまでの約一か月間、体調管理を第一に過ごしていこうと思います。

 さて、中国地方の最高峰(1,729m)大山(だいせん)は、昭和11年に日本で3番目の国立公園に指定され、今年で90年になります。最初の名称は「大山国立公園」でしたが、岡山県の蒜山(ひるぜん)地域、島根県の隠岐島、島根半島、三瓶山(さんべさん)が追加指定され、“大山隠岐国立公園”に名称変更しました。その後も、鳥取県と岡山県の県境にある毛(け)無山(なしやま)地域や三(み)徳山(とくさん)地域が国立公園に編入されました。

 つまり、大山隠岐国立公園は、鳥取県、島根県、岡山県の三つの県にまたがる国立公園なのです。しかし、ただ単に範囲が広いだけでなく、山あり、海あり、変化に富んだ海岸線あり、島々があり、草原もあるという多彩な顔を持ち、魅力一杯の国立公園なのです。平成28年には、「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市」の文化的な価値が認められ、日本遺産に認定されました。

牛馬市が盛んな頃に整備された自然石で作られた日本一長い参道(約700m)

 富士山は既に世界遺産に認定され、コロナ感染症が収束してからは、再び観光客が押し寄せています。私は個人的には、大山隠岐国立公園も世界遺産にふさわしい価値のある郷土の宝物だと誇りに思っています。

 今から54年前の昭和47年、第27回大山国体冬季大会が大山町で開催されました。大山町では、地元で開催される国体を盛り上げるために、大山をたたえる詩を募集しました。すると、全国から736点の作品が集まったのです。

 選ばれたのは、松田美代子さんの「わが心の山」という作品でした。驚くことに、松田さんは地元の大山中学校の3年生だったのです。この詩に、素晴らしい曲がつけられ、4人組の男性グループのデュークエイセスによって歌われて大ヒットしたのです。「大山賛歌」の歌詞を紹介します。

1番 あなたがもしも ひとりになって 

   静かにこころをみつめてみたい

   そのときは 大山に行こう  

   きゃらぼくの みどり葉(は)が 

   あなたのさびしさを つつんでくれる 

   そう、大山はみどりが いっぱいだから

  ダイセンキャラボクは鳥取県の県木です

 

2番 あなたがもしも 愛する人と 

   明日(あした)のひかりを 夢みてみたい  

   そのときは大山に行こう  北壁のきびしさが

   ふたりに人生を おしえてくれる 

   そう、大山はひかりが いっぱいだから

 大山は多様な顔を持っています。写真が北壁です

3番 あなたがもしも 自然の中で 

   親しい仲間と  話してみたい

   そのときは 大山に行こう 

   銀(しろがね)のいただきで

   小鳥があこがれを うたってくれる  

   そう、大山は小鳥が いっぱいだから

 西日本最大規模の大山のブナ林は野鳥の宝庫です

 平成5年、再び冬の国体が大山で開催された時も、大山賛歌は開会式で演奏されています。その後、町村合併等で紆余曲折がありましたが、平成27年、町村合併10周年の年に、正式に「町民歌」となり、今も愛され歌い継がれています。

 大山賛歌は私も大好きな曲です。5月下旬ごろから大山が新緑の季節を迎え、登山シーズンが始まると、なぜか無性にこの歌を聞きたくなってくるのです。

 中学校に勤務していた頃は、学校行事の定番の一つが大山登山だったので、生徒たちを引率し、何度も大山登山を体験しています。しかし、若いころは、大山があまりにも身近な存在だったので、魅力を十分には理解することができなかったように思います。

 年を経て、知識と山登りの実体験を少しばかり重ねたことで、“伯耆富士”大山が多様な魅力に包まれた名山であることが理解できるようになったのかもしれません。

 20代後半の夏休みに、静岡県で高校の先生をしていた友人のO君のお世話になって、富士山の夏山登山を体験した私だからこそ、ちょっぴりドヤ顔ができるのです。

 台風一過の富士山の夜空には満天の星々、翌朝には、雲海の下に眠っている関東平野の奥の方からご来光がゆっくりと姿を現しました。日が昇ると、山梨県側の甲府盆地には雲海をキャンバスにして影富士が姿を見せてくれました。オーバーツーリズムという言葉がまだなかった頃の、生涯忘れることのない最高の思い出の一つでした。

 昨年10月下旬にO君ご夫妻が鳥取旅行を計画し、梨楽庵を利用してくれました。O君は私が梨楽庵をオープンしてから訪ねてくれた最初の大学時代の同級生でした。食事時にはご夫婦と楽しい会話をすることができました。

 翌日は娘さんが住んでいる大阪に立ち寄るとのことでしたが、午前中に富士山の恩返しとして“伯耆富士”大山を観光案内しました。ご夫婦に喜んでいただけたようなので、とてもうれしかったです。

 “朋あり遠方より来るまた楽しからずや”