大山は、なぜ“だいせん”と読むのですか?①
梨楽庵

聖なる山、伯耆富士「大山」(標高1,726m)
午後6時10分から始まるNHKの番組に、地域の話題を取り上げた「いろドリ」という鳥取放送局が制作した番組があります。一昨年の2月21日に、視聴者の疑問に答える特集番組が放送されました。その疑問とは、「大山はなぜ“だいせん”と読むのか?」という疑問でした。
私たち鳥取県民は、子どもの頃から「大山」は「だいせん」と教わり、全く名前の意味や由来を探ることもなく、大人になっています。番組では、40代の女性と50代の男性から同じ疑問が寄せられたようです。この方たちも現在まで、大山を「だいせん」と読んで、当たり前だと捉えていたのです。
疑問を解くために、リポーターは大山へ取材に出かけました。解決の糸口は、大山寺住職の清水豪賢さんへの取材から得ることができました。リポーターからの問いかけに、清水住職さんは次のように答えられました。
「昔からこの山は神が住む聖なる山として、みんなから崇(あが)められていた山でした。そこに仏教的な要素が加わり、神だけでなく仏も一緒に住む聖なる山として、仏教の「呉音(ごおん)」を使った「だいせん」という読み方になったのだと考えられています。」
疑問を解くキーワードは、「呉音(ごおん)」だったのです。漢字には「訓読み」と「音読み」の2つの読み方があります。訓読みは、もともと日本にあった言葉を漢字に当てたもので、音読みは、中国から入って来た発音をもとにしたものでした。さらに、「音読み」には、「漢音(かんおん)」と「呉音(ごおん)」のふた通りの読み方があったのです。
漢字には訓読みと音読みがあることは日本語を学習した人なら誰もが知っていることです。しかし、音読みに複数の読み方があることは知りませんでした。番組を視聴して初めて知り、大変驚きました。
呉音(ごおん)が先に中国から日本に伝わり、その後、漢音(かんおん)が伝来したそうです。例えば、「行政」の「行」という漢字は、呉音で読むので、「ぎょう」ですが、「銀行」の「行」は漢音(かんおん)で読むので、「こう」なのです。
呉音と漢音について調べて見ると、以前から不思議な読み方だなあと思っていた私の疑問が解決しました。年齢や性別に関わらず、全ての人という意味を表す四字熟語に「老若男女」があります。「ろうにゃくなんにょ」と読むのですが、なぜこんな読み方をするのか、ズーと疑問でした。
調べると、「老若」の「若」は漢音が「ジャク」ですが、呉音では「ニャク」だったのです。「男女」は漢音で読むと「だんじょ」ですが、呉音で読むと「なんにょ」だったのです。なので、「老若男女」を「ろうにゃくなんにょ」と読むのは、呉音での読み方だったのです。ガッテン!ガッテン!合点!
( 次号へ続きます )
