平尾とうふ
お知らせ

数十年も前のことです。京都へ旅行して、あるお寺を訪ねたとき、豆腐について書かれた文章がお寺の受付の所に置いてありました。一読し、作者の豆腐愛に満ちた言葉に感銘を受け、帰宅後、自宅の机の透明シートの下にずーっと挟んでいました。時々は目をやったものの、すっかりと忘れていました。今回、平尾さんの豆腐を取り上げようとしたとき、フッと思い出したのです。
豆 腐
信仰は お豆腐のようになることです
豆腐は 煮られてもよし
焼かれてもよし 揚げられてもよし
生で冷奴で ご飯の菜によし
湯豆腐で一杯 酒のさかなによし
柔らかくて 老人病人のお気に入り
子供や 若い者からも 好かれる
男によし 女によし
行儀よく切って 吸物となり
精進料理によし
握りつぶして味噌汁の身となり
家庭料理に向く
四時 春夏秋冬 いつでも使われ
安価であってご馳走の一つに数えられ
山間に都会に ……… ドコでも歓迎せられる
貴顕や 外客の招宴にも 迎えられ
簡単なる学生の自炊生活にも喜ばれる
徹した人は 豆腐の如く柔らかくて
しかも形を崩さぬ
味がないようで 味があり
平凡に見えて 非凡
(原文の行を修正、一部省略)
久しぶりに読んでみて、原作者の豆腐愛に感服すると同時に、豆腐ってすごい食材なんだなあと、改めて、豆腐の、素朴で、気品を内に秘めた、奥ゆかしさのある姿に、豆腐の魅力を再認識しました。
私も豆腐は大好物の一つです。特に、夕食のお酒の相棒には欠かせない一品です。若い頃は、京阪神へ度々出かけていました。京都ファンだったので、新緑や紅葉のベストシーズンには、休日を利用し、京都観光と京料理を食するのを最高の楽しみにしていました。
晩秋から冬にかけては、京都では湯豆腐が人気です。何度か豆腐料理を堪能し、「京都は、やっぱり良いところだなあ。こんなに美味しい豆腐が食べられるんだから」と、羨ましく思っていました。
京都観光を一通り終えて、50台の半ばに差しかかった頃、ほぼ毎日食卓に出されている地元の豆腐の美味しさに気がつくようになったのです。「京都かぶれになってしまい、京都の品物なら何でも1番のように感じていたけど、鳥取県は水がきれいだし、いろいろな分野にこだわりの強い職人さんがおられるし、地元の豆腐を食べ比べしてみようかな」
地元の豆腐に目が行くようになった時、「平尾とうふ」に出会ったのです。「全国豆腐品評会中国四国地区大会において、絹とうふが絹部門で金賞、おぼろ豆腐がおぼろ部門で銅賞を受賞しました。」地元の新聞や雑誌に紹介されていた記事に驚いたのです。「中国四国大会で金賞だって!すごい!食べてみたい!」
平尾とうふが評判になってから、鳥取市内の大手スーパーの売り場で販売していることがわかりました。早速購入し、夕食時にいただきました。何ともまろやかで、大豆の風味が感じられる優しい味でした。絹も木綿もおぼろも、舌触りが微妙に異なりますが、いずれも美味しい味なのは間違いありません。特に、おぼろは口の中でとろける感じがします。



平尾とうふに出会って以来、初めてお越しになる県外からのお客様には、平尾とうふをご準備し味わっていただいていました。当時は入手が困難で、鳥取市内の大手スーパーまで出かけていたのですが、今は、梨楽庵から車でわずか15分の所にある「道の駅西いなば気楽里」で購入することができます。
平尾とうふに出会ったおかげで、県内で生産し販売されている他の豆腐も購入し、食べ比べをしています。鳥取の美味しい水のおかげなのか、どの豆腐も味わい深く、手作り感が感じられて、豆腐を食べるたびに「口・福・感」に満たされています。
〈 追記 〉ネットで調べて見ると、豆腐の文章は、京都の嵐山にある化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)のご住職さんが書かれた文章のようでした。なので、私が訪ねたお寺は化野念仏寺だったようです。
