農家民宿 梨楽庵ブログ

浦富海岸島めぐり“小型”遊覧船②

風景

 

 浦富海岸の説明に少し力が入り過ぎました。小型船はスピードを落として岩場に接近していきました。小型船の最大の魅力は、遊覧船では通れない狭い航路を通って洞門や洞窟に入り、水深の浅い入り江にも入ることができることです。小型船が岩場に近づくと、花崗岩の割れ目や断層が鮮やかに見えるのです。

 遊覧船でも断崖や洞門、洞窟の姿は見えるのですが、岩が迫りくる圧迫感は感じませんでした。しかし、小型船に乗っていると、岩場に近づいていくのは船の方なのですが、感覚的には巨大な岩場が私たちの方に迫ってくるように感じられて、圧倒されるのです。

 この感覚を過去に一度だけ経験した記憶がよみがえってきました。それは今から30数年前に信州方面を旅行した時のことでした。たまたま地図を見て、「鬼押し出し」という観光地を訪れました。

 何と、そこは江戸時代に浅間山の大噴火によってできた大規模な溶岩地形の現場だったのです。あたり一面に広がる溶岩台地の、見たこともない独特な地形に強烈な衝撃を受けたことを今でもありありと思い出すことができます。

 陸の上の溶岩地形とは異なって、海の上から迫りくる岩石海岸を見るのはより一層ワクワクします。しばらくすると、遊覧船でも見た「千貫松島(せんがんまつしま)」が見えてきます。

 驚いたことに、何と何と、小型船は千貫松島の洞門の中を通り抜けしたのです。千貫松島の名付け親の鳥取藩2代目藩主、池田綱清公も通り抜けしたのでしょうか?

 小型船は「白粉の断崖(おしろいのだんがい)」にも接近するので、野生の鵜(う)の糞(フン)だと言われる白色も間近に見ることができました。小型船は岩と岩の間を通って、「観音浦」や「蜩(ひぐらし)洞門」などの景勝地を進んで行きました。

           「白粉の断崖」も間近に見えます

 この辺りでは、前後左右どの方向を見てもカメラのシャッターを切りたくなる風景が次々と現れるのです。遊覧船から眺めた時は風景が平面的に見えたのですが、小型船では風景が立体映像となって迫ってくるように感じました。

      観音浦付近の景観です

抜群の透明度でした。こんな海はなかなか見ることはできません

  奥に見えるのが「蜩(ひぐらし)洞門」です

 小型船は鴨ケ磯(かもがいそ)海岸の沖に入っていきました。鴨ケ磯海岸から城原(しらわら)海岸の海域は、海中景観が特に優れているので「海域公園」に指定されています。ここでは「箱メガネ」で海中を観察することができるのです。

  ここが鴨ケ磯海岸です。海域公園です

   箱メガネで海中を観察しています

 その時の天候次第で透明度は違いますが、鴨ケ磯海岸で海中観察ができるのは小型船の魅力の一つなのです。船頭さんのお話では、この日はここ数日の中でも最も透明度が高いとのことでした。岩美町の海の青さは、「岩美ブルー」と呼ばれています。今見ているのが、まさしく「岩美ブルー」なのです。

 鴨ケ磯海岸を抜けると、小型船は駱駝(らくだ)島と石垣島の間を通って菜種五島に向かいました。菜種五島は城原(しらわら)海岸側から眺める景観が有名です。船頭さんの説明によると、大昔、五島は一続きの島でしたが、海食と風化によって現在の姿になったそうです。

     菜種5島のうちの3島です

 左の島が「菜種島」、春には菜の花が咲きます

 この日は海面が穏やかでほとんど波のない「べた凪(なぎ)」だったので、幸運なことに、海面に浮かんだ菜種島の影を初めて見ることができました。小型船は五島の中で一番大きな「菜種島」をぐるりと回っていきました。ここからも大小の洞門を見ることができました。陸側の城原海岸側からは見えない角度なのでお得感がありました。

「城原海岸(しらわらかいがん)」も海域公園です

   こんな景色はなかなか見ることはできません

 菜種島を通過すると、小型船は一気にスピードを上げて網代港へと向かい、無事に船着き場へ到着しました。小型船の乗船時間は遊覧船と同じくおよそ40分です。小型船の唯一の難点は波が高く、気候条件が合わないと運航できないことです。前日は運航できたのに当日はできないこともあります。旅行計画を立てにくいのですが、遊覧船を体験された方には、次回は是非とも小型船の体験をイチ推し、いや、二推し、三推しいたします。

    茶色のところが鳥取砂丘です

この日は「伯耆富士」大山を遠望することができました

赤丸が網代港です。この沖合から大山を遠望することができるのです

シーカヤックや磯釣りを楽しんでいる人もたくさん見かけました